ドメイン
公開日: 2025/06/03
ドメインとは?Webとソフトウェアで意味が変わる2つの“ドメイン”の基礎知識
はじめに
「ドメイン」という言葉はITの世界で頻繁に登場しますが、文脈によって意味が異なるため混乱しがちです。
主に2つの使われ方があります:1つはWebのアドレス(URL)の一部としてのドメイン、もう1つは**ソフトウェア設計における業務領域(ビジネスドメイン)**としてのドメインです。
この記事では、それぞれの「ドメイン」の意味と違い、活用例をわかりやすく整理します。
基本情報・概要
1. インターネットにおけるドメイン(ドメイン名)
主な構成:
- サブドメイン:blog.example.com の "blog"
- ドメイン名:example
- トップレベルドメイン(TLD):.com, .net, .jp など
2. ソフトウェア開発におけるドメイン(業務領域)
- システムが扱う問題空間・ビジネスの範囲そのもの
- 例:ECサイトなら「商品管理」「在庫管理」「決済処理」などがドメイン
- ドメイン駆動設計(DDD)では、この「業務の本質」を中心にシステム設計を行う
比較・分類・特徴の表形式まとめ
用語の意味 | ドメイン名(URL) | ソフトウェアのドメイン(業務領域) |
---|---|---|
対象 | Web上のアドレス | アプリケーションが解決すべき問題領域 |
構成 | サブドメイン・ドメイン名・TLDなど | モデル、エンティティ、ユースケースなど |
関連技術 | DNS、SSL証明書、CDN、Webサーバー設定 | ドメイン駆動設計、モジュール分離 |
使われる場面 | サイト構築、メール、アクセスURLなど | システム設計、ビジネス理解、DDD |
深掘り解説
ドメイン名の取得と利用例
- ドメイン名は各種レジストラ(お名前.com, Google Domainsなど)で取得
- サイトのURL、メールアドレス(@example.com)にも利用される
- SSL証明書によりHTTPS化する際にも使用(証明書はドメイン単位で発行)
ビジネスドメインの整理方法(DDDの考え方)
- ユビキタス言語:業務関係者と開発者が共通で使う語彙を定義
- エンティティと値オブジェクトの区別:一意性を持つか否かで役割を分ける
- ドメインサービス:ビジネスロジックを担う中核の処理層
応用・発展的な使い方
- サブドメイン戦略:サービス単位にURLを分ける(api.example.com, admin.example.comなど)
- バウンデッドコンテキスト:ドメイン間の境界を明確にして疎結合にする
- マイクロサービスとドメインの連動:ドメイン単位でサービスを切り出す構成が効果的
- ドメインイベント:業務上の出来事をイベント駆動で扱う(例:注文完了)
よくある誤解と注意点
- 「ドメイン=URLのこと」だけではない(文脈に注意)
- DDDの「ドメイン」は技術の話ではなく業務理解の話
- DNS設定を誤るとサイトが表示されなくなるリスクあり
- ドメイン設計を軽視すると、システム拡張時に破綻しやすい
まとめ
「ドメイン」という言葉は、Webアドレスの識別にも、ソフトウェア設計の核心にも使われる重要な用語です。
文脈によって意味が異なるため、場面ごとに正しく理解することが大切です。
特にソフトウェア開発においては、「業務の本質(ドメイン)」を深く理解し、設計に活かすことが良いシステムの第一歩となります。