MVCモデル
公開日: 2025/06/03
MVCモデルとは?ソフトウェア設計を整理する三層構造の基本
はじめに
ソフトウェアの構造を「見やすく・保守しやすく・拡張しやすく」するための設計パターンとして、長年使われてきたのが「MVCモデル」です。
Webアプリケーションやデスクトップソフトなど幅広い開発現場で採用されており、設計の基本として知っておきたい考え方です。
この記事では、MVCの役割、構成、利点・欠点、実装例までをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
MVCとは、Model(モデル)、View(ビュー)、Controller(コントローラー)の3つの役割に分けてアプリケーションを構築するアーキテクチャパターンです。
- Model:データとビジネスロジックの管理
- View:ユーザーインターフェースの描画部分
- Controller:入力を受け取り、処理の流れを制御
この分離により、開発者の分業やコードの再利用・保守性が向上します。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
コンポーネント | 役割 | 例(Webアプリの場合) |
---|---|---|
Model | データ管理・ビジネスルール | データベースモデル、ORM |
View | 画面表示・ユーザーへの出力 | HTMLテンプレート、UIフレームワーク |
Controller | 入力処理、ModelとViewの橋渡し | ルーティング、リクエスト処理ロジック |
深掘り解説
処理の流れ(典型的なWeb MVC)
- ユーザーがフォーム送信などのリクエストを実行
- Controller がその入力を受け取り、Model にデータ取得や保存を指示
- Model が処理結果を返す
- Controller が View に結果を渡して、画面を生成・返却
実装例(Node.js + Express)
// Controller app.post('/user', async (req, res) => { const user = await UserModel.create(req.body); // Model res.render('user-created', { user }); // View }); // Model const UserModel = mongoose.model('User', { name: String, email: String }); // View(EJSなど) <h1><%= user.name %> さんを作成しました</h1>
応用・発展的な使い方
- MVVMやMVPへの発展:クライアント側の複雑なUI制御に対応
- APIとテンプレートの分離:SPAやモバイル対応でViewは完全に分離可能
- フレームワークでの活用:Ruby on Rails, Laravel, Spring MVC, Django など多くのFWがMVCを基盤に設計
- Fat Model / Thin Controller:責務を分散して保守性を保つ設計パターン
よくある誤解と注意点
- MVCは「絶対のルール」ではなく、プロジェクトごとに適用方法は変わる
- コントローラーにロジックを詰め込みすぎると「Fat Controller化」して破綻する
- ビューとロジックの分離ができていない場合は「擬似MVC」になる
- Model層の責任範囲(DB操作かビジネスロジックか)を明確にすべき
まとめ
MVCモデルは、ソフトウェアの構造を整理し、チーム開発・拡張性・保守性を高めるための重要な設計パターンです。
「関心の分離」によって各層の責務を明確にし、テスト・再利用・変更対応を容易にします。
Web開発におけるベーシックな知識として、ぜひ理解して活用していきましょう。