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SSL/TLS

公開日: 2025/06/03

SSL/TLS:インターネット通信を守る暗号化プロトコルの基礎

はじめに

Webサイトでよく見る「https://」や鍵マークの正体、それが SSL/TLS です。
現代のWebにおいて、パスワードやクレジットカード情報を暗号化せずに送信することは、もはやセキュリティリスク以外の何物でもありません。
本記事では、SSL/TLSの役割・仕組み・歴史・導入メリットについて、開発者目線で解説します。

基本情報・概要

  • SSL(Secure Sockets Layer)
    インターネット通信を暗号化するために開発されたプロトコル。現在はTLSに置き換え済み

  • TLS(Transport Layer Security)
    SSLの後継であり、実際に使われているのはこのTLS。HTTPSの中身はTLSである。

  • 用途
    Web(HTTPS)、メール、FTP、API通信、VPNなど多岐にわたる。

比較・分類・特徴の表形式まとめ

項目SSLTLS
現在の使用状況使用非推奨(TLSに移行済)実質的に業界標準(TLS 1.2以上推奨)
バージョンSSLv2, SSLv3(すでに脆弱)TLS 1.0〜1.3(TLS 1.3は2018年標準化)
主な用途HTTPS、メール通信などの暗号化同左。APIやIoT、HTTP/2でも利用
特徴非対称鍵交換+対称暗号化+改ざん検知より安全かつ軽量、高速なハンドシェイク

深掘り解説(TLSの仕組み)

  • TLSハンドシェイクの流れ(HTTPSの初回接続時)

      1. クライアント:Hello(TLSバージョン、暗号スイート提示)
      2. サーバー:Hello(証明書送信、鍵交換方法提示)
      3. 鍵交換:公開鍵暗号方式で共有鍵を安全に生成
      4. セッション確立:以降は共有鍵で通信(共通鍵暗号)
    
    • 証明書は**認証局(CA)**が署名し、ドメインの正当性を証明
    • 改ざん防止のためにメッセージ認証(MAC)も含まれる
  • HTTPSの正体

      HTTPS = HTTP + TLS
      (ポート443、暗号化トンネル内でHTTP通信)
    

応用・発展的な使い方

  • Let’s Encryptの無料SSL証明書

    • 短期間(90日)更新制だが、自動更新スクリプトで容易に運用可能
  • HTTP Strict Transport Security(HSTS)

    • 一度HTTPSで接続したら、その後は自動的にHTTPSのみ許可(中間攻撃防止)
  • TLSバージョン制御と暗号スイート最適化

    • TLS 1.2 or 1.3のみを許可、古いバージョンは明示的に無効化
  • TLS証明書ピンニング(モバイルアプリなど)

    • 信頼するCA以外の証明書を拒否して中間者攻撃を防止

よくある誤解と注意点

  • SSLとTLSは「別物」ではなく、TLSが後継であり現在の標準
  • TLSを使っていてもXSSやCSRFは防げない:暗号化は通信路の安全性を担保するのみ
  • 証明書は「暗号」ではなく「認証」の道具:実際の暗号は別途行われている

まとめ

SSL/TLSは、現代のWebにおける通信の守護神です。
TLSを適切に導入・運用することで、盗聴・改ざん・なりすましといったリスクを防ぎ、ユーザーとサービスの信頼性を守ることができます。
HTTPSは「あると便利」ではなく、「ないと危険」です。今すぐTLSを正しく理解し、Webの安全な未来を築きましょう。