システム監視
公開日: 2025/06/03
システム監視とは?障害予兆を捉えるための可視化と運用設計
はじめに
システムが止まれば、ビジネスも止まります。
そのため、稼働中のシステムの状態を常時把握し、異常や障害をいち早く検知する「システム監視」が非常に重要です。
この記事では、監視の基本要素からツール選定、運用の実践ポイントまでをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
システム監視とは、サーバー・ネットワーク・アプリケーションなどのITリソースの稼働状況や性能をモニタリングし、異常を検知・通知する仕組みです。
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目的:
- 障害の早期発見と対応
- サービス品質(SLA)の維持
- ボトルネックの把握と改善
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主な監視対象:
- サーバー(CPU, メモリ, ディスク使用率)
- ネットワーク(遅延、パケットロス)
- アプリケーション(レスポンス時間、エラー率)
- ログ(エラーメッセージ、異常パターン)
比較・分類・特徴の表形式まとめ
監視の種類 | 内容 | 主な用途 |
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死活監視(Ping) | 機器やサービスの稼働有無を確認 | サーバーが生きているかの確認 |
リソース監視 | CPU・メモリ・ディスクなどの監視 | 負荷傾向分析、過負荷防止 |
アプリ監視 | APIやWebページの応答確認 | サービス品質の担保 |
ログ監視 | ログファイルの内容をスキャン | エラー検出、不正アクセス検知 |
トレース監視 | リクエスト経路や依存関係の追跡 | マイクロサービスの可観測性強化 |
深掘り解説
代表的な監視ツール
- Zabbix:総合的な監視ツール、エージェント対応、グラフ表示、柔軟なトリガー設定
- Prometheus + Grafana:時系列データの収集と可視化、Kubernetes環境との相性が良い
- Datadog / New Relic:クラウドベースの統合監視サービス、SaaS向けにも最適
- Nagios:古くからある定番ツール、拡張プラグインが豊富
通知と自動対応
- 監視対象に異常が発生した際、メール・Slack・PagerDutyなどで通知
- 自動リスタート、フェイルオーバー処理との連携も可能
- スクリプトによるセルフヒーリング対応で復旧時間を短縮
応用・発展的な使い方
- Kubernetes監視:Podの状態、メモリ上限、オートスケーリング状況を可視化
- APM(Application Performance Monitoring):ボトルネック分析、ユーザー体験の改善
- SLO / SLIの設定:サービス品質の目標値・指標を定量的に評価
- 統合ログ+メトリクス分析:可観測性の三要素(ログ・メトリクス・トレース)を一元管理
よくある誤解と注意点
- 監視=アラート通知だけではない(傾向分析や改善も含む)
- 過剰な通知でアラート疲れ → 優先度設計や閾値設定の見直しが必要
- 可視化されていても「誰も見ていない」状態では意味がない
- SLA/SLOと連動しない監視は、業務目標とずれが生まれる
まとめ
システム監視は、サービスの安定稼働と品質維持のための「見張り役」です。
単なる異常検知にとどまらず、パフォーマンス改善や予兆検知へと発展させることが重要です。
継続的な見直しと可視化の工夫により、監視体制を組織全体の信頼基盤へと進化させましょう。