SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)
公開日: 2025/06/03
SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)とは?開発工程を体系化するプロセスモデル
はじめに
ソフトウェア開発は単にコードを書く作業ではなく、計画から保守に至るまでの一連の工程を含みます。
この流れを体系化したものが「SDLC(Software Development Life Cycle)」です。
本記事ではSDLCの各フェーズの概要、代表的なモデル、運用上のポイントをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
SDLCとは、ソフトウェアの企画・設計・開発・テスト・運用・保守までのプロセスを段階的に定義したライフサイクルモデルです。
各フェーズを明確に分けることで、品質と予測可能性を高め、失敗のリスクを減らすことができます。
代表的なSDLCのモデル:
- ウォーターフォールモデル
- アジャイルモデル
- スパイラルモデル
- Vモデル
- DevOpsモデル(近年の拡張系)
比較・分類・特徴の表形式まとめ
フェーズ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
要件定義 | ユーザーや業務要件を明確化 | 不明確な要件は後工程に影響 |
設計 | アーキテクチャ設計・DB設計など | 拡張性・保守性を考慮した設計が重要 |
実装(開発) | プログラミング作業 | コーディング規約・レビュー文化 |
テスト | 単体・結合・総合・受入テストの実施 | 自動化と網羅性が鍵 |
デプロイ | 本番環境への移行 | リリース手順の整備・ロールバック対応 |
保守・運用 | 不具合修正・改善・監視 | 継続的インテグレーションと監視体制 |
深掘り解説
ウォーターフォールとアジャイルの違い
- ウォーターフォール:各工程が直列的で戻らない(要件固定型、文書重視)
- アジャイル:反復型、短いスプリントで成果物を検証しながら進める(柔軟性重視)
DevOpsとの関係
SDLCの運用・保守フェーズを高度に自動化・統合した概念が DevOps。
CI/CDパイプライン、監視ツール、IaCなどと連携し、SDLCを高速・安定に回す仕組み。
応用・発展的な使い方
- 品質ゲートの設置:各フェーズで明確な品質チェック基準を設定
- テスト駆動開発(TDD)との連携:SDLCのテストフェーズを強化
- トレーサビリティ確保:要件⇔テスト⇔コードの対応関係を可視化
- ドキュメント自動生成:設計書やAPI仕様書をCI/CDに組み込む
よくある誤解と注意点
- SDLCは古い、アジャイルが最新という誤解 → SDLCはアジャイル含む上位概念
- フェーズの分離=分断ではない(チーム連携・フィードバックループが重要)
- 工程が見えるだけで品質が上がるわけではない(プロセス設計と教育が必須)
- 運用・保守が軽視されがち → 最も時間とコストがかかるのは保守フェーズ
まとめ
SDLCは、ソフトウェア開発を計画的かつ持続的に成功させるためのフレームワークです。
どのモデルを選ぶにせよ、各フェーズを丁寧に設計・実行し、継続的なフィードバックで改善を図る姿勢が求められます。
現代ではアジャイルやDevOpsと融合しながら、より柔軟で迅速なSDLCの運用が求められています。