LinterとFormatterの違い：コード品質と整形の役割を正しく理解しよう

はじめに

JavaScriptやPythonなどの開発現場でよく耳にする「Linter」と「Formatter」。
似たようなツールに思えますが、それぞれの目的や役割は明確に異なります。
本記事では、LinterとFormatterの違いを解説し、プロジェクトにどう活用すべきかを具体的に紹介します。

基本情報・概要

• Linter（リンター）：構文ミスや非推奨の書き方、コードスタイルの逸脱を検出し、開発者に警告を出す静的解析ツール。
• Formatter（フォーマッター）：コードのインデントや改行、空白のルールなどを自動整形するツール。文法やエラー検出はしない。

どちらも「コードを読みやすく・保守しやすくする」ためのツールですが、アプローチが異なります。

比較・分類・特徴の表形式まとめ

深掘り解説

• ESLint + Prettier（JavaScript）：

  ESLintは「未使用変数」や「==の使用」などを検出します：

    const x = 1;
    if (x == '1') { console.log("match"); }
  

  →

  ==

  ではなく

  ===

  を推奨、などの警告を表示。

  一方、Prettierは以下のようなフォーマットを自動整形します：

    // 整形前
    function greet(name){return "Hi,"+name;}
    
    // 整形後（Prettier）
    function greet(name) {
        return "Hi, " + name;
    }
  

• Pythonにおける違い：

  • flake8

    や

    pylint

    →

    未使用import

    や

    PEP8違反

    を警告

  • black

    や

    autopep8

    → 改行やスペースを自動整形

• CI/CDとの連携：

  • npm run lint

    をCIで実行して、品質チェック

  • pre-commit

    フックで

    eslint --fix

    や

    prettier --write

    を自動実行

応用・発展的な使い方

• Linterにルールセットをカスタムして、チームのコーディングガイドラインを統一
• Formatterは全員が同じ設定を共有（

  .prettierrc

  ,

  pyproject.toml

  など）
• GitフックやGitHub Actionsで強制適用することで、品質と見た目の両立を図る

よくある誤解と注意点

• Linterは「エラー修正ツール」ではない：あくまで指摘・警告が主目的
• Formatterは「コードの意味」は変えない：ロジックミスなどは見つけられない
• ESLintとPrettierのルールが競合する場合、統合設定（

  eslint-config-prettier

  ）を使うのが定番

まとめ

LinterとFormatterは、コードの「品質」と「整形」の両輪を担う重要なツールです。
Linterでバグの元や非推奨記述を検出し、Formatterで見た目の統一を図ることで、チーム全体の生産性と可読性が向上します。両者をうまく組み合わせて、快適な開発環境を整えていきましょう。