JestとCypressの違い
公開日: 2025/06/03
JestとCypressの違い:目的に応じて使い分けるテストツール比較
はじめに
フロントエンド開発でテストを書く際、「JestとCypressどっちを使えばいいの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実はこの2つは用途も仕組みも異なるため、単純な置き換えはできません。
本記事では、JestとCypressの違いを明確に整理し、適切な使いどころを解説します。
基本情報・概要
- Jest:JavaScriptアプリケーション向けのユニットテスト/スナップショットテストフレームワーク。Reactとの親和性が高い。
- Cypress:ブラウザで実行されるE2Eテストフレームワーク。UIやDOMの操作・確認に強い。
どちらも自動テストを支援するツールですが、レイヤーと目的が異なります。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | Jest | Cypress |
---|---|---|
主な用途 | ユニットテスト、関数のロジック検証 | E2E(エンドツーエンド)UI操作テスト |
実行環境 | Node.js上(CLI) | 実際のブラウザ上で動作 |
DOMアクセス | 基本不可(jsdomで一部対応) | 可能(実ブラウザでレンダリングして検証) |
スピード | 高速(ミリ秒単位) | やや遅い(UIレンダリングを伴う) |
インタラクション検証 | 難しい(jsdom制限あり) | 簡単(クリック・スクロール・フォームなど) |
スナップショット | 可能(UIの構造差分検出) | なし(画面そのものを検証) |
深掘り解説
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Jestの例(ユニットテスト):
function sum(a, b) { return a + b; }
test("adds 1 + 2 to equal 3", () => { expect(sum(1, 2)).toBe(3); });
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Jest + Testing Library(DOM検証):
render(<Button />); expect(screen.getByRole("button")).toHaveTextContent("送信");
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Cypressの例(E2Eテスト):
describe("ログイン機能", () => { it("ログイン後にマイページへ遷移する", () => { cy.visit("/login"); cy.get("input[name=email]").type("test@example.com"); cy.get("input[name=password]").type("password123"); cy.get("button[type=submit]").click(); cy.url().should("include", "/mypage"); }); });
Cypressでは、実際のブラウザを用いてリアルなユーザー体験をシミュレーションできます。
応用・発展的な使い方
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Jest:
- モック(
)で外部依存を切ってロジックだけを検証jest.fn()
- CIに組み込み、変更のデグレチェックに活用
でカバレッジ測定--coverage
- モック(
-
Cypress:
- CI環境でE2Eを実行(GitHub Actions連携も簡単)
でAPIレスポンスをモックcy.intercept()
- ビジュアルリグレッション(Cypress + Percy等)
よくある誤解と注意点
- 「JestだけでUIもすべてテストできる」→ 実DOMでの動作検証は難しいケースもある
- 「Cypressだけで全部やる」→ 細かいロジックや条件分岐の検証には向かない
- Jestは軽量、Cypressは統合的 → 両方を使い分けるのが理想的
まとめ
JestとCypressは、それぞれの目的に特化した強力なテストツールです。
- ロジックやコンポーネント単位のテスト → Jest
- 実際のユーザー操作・画面遷移の検証 → Cypress
両者を組み合わせることで、アプリ全体の信頼性を確保しながら、保守性の高い開発体制を築くことができます。
「どちらか」ではなく「適材適所」で使い分けていきましょう。