SQLとNoSQLの違い
公開日: 2025/06/03
SQLとNoSQLの違いとは?データベース選定のための基本理解
はじめに
データベースの選定を行う際に、まず検討対象となるのが「SQL(リレーショナルデータベース)」と「NoSQL(非リレーショナルデータベース)」のどちらを使うかです。
どちらもデータを保存・取得するための仕組みですが、構造・運用・得意分野が大きく異なります。
この記事では、SQLとNoSQLの基本的な違い、代表例、選定ポイントをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
-
SQL(Structured Query Language)データベース
→ テーブル形式の構造化データを扱うリレーショナルDB。厳密なスキーマと整合性が特徴。 -
NoSQL(Not Only SQL)データベース
→ 柔軟な形式で非構造化・半構造化データを扱えるDBの総称。スケーラビリティやスピード重視。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | SQLデータベース(RDB) | NoSQLデータベース |
---|---|---|
データ構造 | テーブル(行・列) | JSON、キー値、グラフ、カラム形式など |
スキーマ | 固定(列の型が事前定義される) | 柔軟(必要に応じて動的に変更可能) |
クエリ言語 | SQL(SELECT, INSERTなど) | 独自APIまたはDSL |
一貫性モデル | ACIDトランザクション重視 | 最終的な整合性(BASE)を採用することも |
拡張性 | 垂直スケーリングが基本 | 水平スケーリングに優れる |
利用例 | 業務システム、財務、在庫管理など | SNS、IoT、リアルタイムログ、分散処理 |
主な製品 | MySQL, PostgreSQL, Oracle, SQL Server | MongoDB, Redis, Cassandra, DynamoDB |
深掘り解説
SQLデータベースの特徴
- 高度なJOIN、サブクエリ、集計関数などが使える
- データの整合性と厳密な制約が強み(PK/UK/FKなど)
- トランザクション処理に優れ、ミッションクリティカルな用途に適する
- スキーマ設計が重要で、事前のデータ構造定義が必須
NoSQLの種類と特徴
- ドキュメント型(例:MongoDB):JSONライクなデータ構造を柔軟に保存
- キー・バリュー型(例:Redis):シンプルかつ高速、キャッシュやセッション管理に最適
- カラム型(例:Cassandra):列単位でデータを持つ、大量のデータ分析に向く
- グラフ型(例:Neo4j):ノードとエッジによる構造、SNSや関係分析に適する
応用・発展的な使い方
- SQL + NoSQLの併用:コアデータはRDBに、セッションやログはNoSQLに
- クラウド対応DB:Amazon RDS(SQL系)、DynamoDB(NoSQL)など
- 全文検索との組み合わせ:NoSQL(例:Elasticsearch)で検索機能を強化
- データレイク構成:NoSQLベースで非構造データを大量に蓄積・分析
よくある誤解と注意点
- 「NoSQL=高性能」とは限らない(構造・使い方による)
- トランザクションやJOINが必要な場面ではRDBが適している
- NoSQLでもデータモデル設計は重要(スキーマレス=設計不要ではない)
- SQLの知識はNoSQLでも役立つ場面が多い(複雑な集計・変換時など)
まとめ
SQLとNoSQLは、それぞれに強みと用途の異なるデータベース設計思想です。
高い整合性と構造化された処理が求められる場面にはSQLを、スケーラビリティや柔軟性が求められる場面にはNoSQLが向いています。
プロジェクトの要件に応じて適切に選び、場合によってはハイブリッド構成も視野に入れて設計しましょう。