レイテンシ
公開日: 2025/06/03
レイテンシとは?システムの反応速度を左右する重要なパフォーマンス指標
はじめに
「なんだか動作が重い」「レスポンスが遅い」と感じたとき、その原因の一つとしてよく挙げられるのが「レイテンシ(Latency)」です。
レイテンシは、ネットワークやシステムの応答時間を測る重要な指標であり、UX・性能・スケーラビリティのすべてに影響を与えます。
この記事では、レイテンシの定義、関連用語、原因、改善策までをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
レイテンシとは、**ある操作を開始してから、システムが反応するまでにかかる時間のこと(遅延時間)**です。
- 単位は通常「ミリ秒(ms)」や「ナノ秒(ns)」で表される
- ネットワーク、ストレージ、処理ロジックなど複数要素に起因
- 低ければ低いほど、ユーザー体験は良好に
比較・分類・特徴の表形式まとめ
種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
ネットワークレイテンシ | クライアントとサーバー間の通信遅延 | ピン(ping)応答、WebAPIの応答時間 |
ディスクレイテンシ | ストレージからのデータ読み出しの遅延 | HDD/SSD/クラウドストレージの読み込み |
アプリケーションレイテンシ | 処理ロジックやDBアクセスにかかる時間 | バックエンドのAPI処理時間 |
エンドユーザーレイテンシ | ユーザー視点での体感応答時間 | ボタン押下→表示完了までの体感時間 |
深掘り解説
レイテンシ vs スループットの違い
- レイテンシ:1つのリクエストにかかる応答時間(“速さ”)
- スループット:単位時間あたりに処理できるリクエスト数(“量”)
- 両者はトレードオフの関係にある場合がある(大量処理は遅延を招くことも)
計測方法と指標
やping
:ネットワークレイテンシの測定traceroute
:HTTPリクエスト全体の応答時間curl -w "%{time_total}"
- APM(Application Performance Monitoring)ツール:New Relic, Datadog, Sentry など
- 重要指標:P95/P99 レイテンシ(遅いケースを把握するための分位値)
応用・発展的な使い方
- CDNによる地理的レイテンシ削減:ユーザーの近くから静的ファイルを配信
- キャッシュ活用(Redis, Memcached):DBアクセスの遅延を回避
- 非同期処理:UI操作から重たい処理を切り離し体感を改善
- API Gateway + Lambdaの最適化:Cold Start対策で初動レスポンス改善
よくある誤解と注意点
- レイテンシが低くてもスループットが低ければ性能は出ない
- 体感が遅い=ネットワークが原因とは限らない(UI・JS処理・DBなど他要因も多い)
- レイテンシ改善はボトルネック特定が前提(安易な増強は非効率)
- 高速化とコストはトレードオフ(CDN・グローバル構成など)
まとめ
レイテンシは、システムやネットワークの「速さ」を測る最も基本的な性能指標です。
ユーザー体験や業務効率、SLA遵守にも直結するため、適切にモニタリングし、設計段階から考慮すべき重要な要素です。
キャッシュ・非同期処理・地理分散など複数のアプローチを組み合わせて、安定した低レイテンシシステムを実現しましょう。