SPAとSSRの違い
公開日: 2025/06/03
SPAとSSRの違いとは?Webアーキテクチャの選択とパフォーマンス設計の基本
はじめに
モダンなWebアプリケーションの構築において、「SPA(シングルページアプリケーション)」と「SSR(サーバーサイドレンダリング)」は重要な選択肢です。
どちらもJavaScriptを中心に構築されますが、ページの生成方法と体験設計に大きな違いがあります。
この記事では、SPAとSSRの違い、メリット・デメリット、ユースケースを比較して解説します。
基本情報・概要
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SPA(Single Page Application)
単一のHTMLファイルをベースに、ページ遷移や動的処理をクライアント側(ブラウザ)で完結させる方式。 -
SSR(Server Side Rendering)
初期のHTMLをサーバー側で生成してブラウザに返す方式。JavaScriptはその後に動的処理を担当する。
どちらもReactやVueなどのフレームワークで対応可能であり、Next.jsやNuxtといったSSR特化のフレームワークも存在します。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | SPA | SSR |
---|---|---|
ページ生成 | クライアント側(初回ロード後) | サーバー側でHTML生成 |
初期表示速度 | 遅い(JSロード完了後に描画) | 速い(HTMLで即座に表示) |
SEO対応 | 難しい(要対応) | 強い(HTMLがすぐ生成されるため) |
ページ遷移 | 高速(ページ全体を再読み込みしない) | 通常は毎回サーバーリクエスト |
実装の複雑さ | シンプル(クライアント中心) | 複雑(データ取得やキャッシュ戦略が必要) |
使用例 | ダッシュボード、管理画面、Webアプリケーション | メディア、ブログ、ECサイト、LPなど |
深掘り解説
SPAの特徴と構成例
- 初回に
+index.html
を読み込みbundle.js
- 各ページはJavaScriptのルーティングで切り替え
- 状態管理やAPI通信が中心(例:Redux, React Query)
- UXは滑らかだが、初期描画が遅くなりやすい
使用フレームワーク:
- React(Vite, CRA)
- Vue.js(Vite, Vue CLI)
- Angular
SSRの特徴と構成例
- リクエストごとにサーバーがHTMLを生成して返却
- ページごとにサーバーから新しいHTMLを取得
- 表示速度・SEO・SNSシェア向けのメタタグ最適化が得意
使用フレームワーク:
- Next.js(Reactベース)
- Nuxt.js(Vueベース)
応用・発展的な使い方
- SSG(静的サイト生成):ビルド時にHTMLを生成し、CDNにキャッシュ(例:Next.jsの
)getStaticProps
- ISR(Incremental Static Regeneration):静的生成 + 一部再生成のハイブリッド構成
- CSR + SEO対策:SPA内でmetaタグ操作(例:React Helmet)+事前レンダリング(Prerender)
- API連携最適化:クライアントとサーバーの役割分担設計が重要
よくある誤解と注意点
- SPAはすべてのアプリに向いているわけではない(SEOが重要なサイトには不向き)
- SSRは初期表示は速いが、サーバー負荷が高まる場合もある(キャッシュ設計が重要)
- 検索エンジンは最近のSPAもある程度インデックス可能だが、完全ではない
- パフォーマンスは「構成」よりも「設計と実装」で大きく変わる
まとめ
SPAとSSRは、それぞれにメリット・デメリットがあるWebアーキテクチャのアプローチです。
求めるUX、SEO、開発スピード、運用体制などに応じて適切に選択し、場合によってはSSGやISRなどのハイブリッド戦略も検討することが重要です。
技術の違いだけでなく、「何を実現したいのか」に立ち返って構成を考えましょう。