タグ
公開日: 2025/06/02
タグとは?──Gitで重要な節目を記録するためのマイルストーン管理術
はじめに
バージョン1.0.0のリリース、重要な機能の完成、緊急修正の記録──これらの「節目」を履歴に残しておきたいと思ったことはありませんか?
Gitでは、そのために「タグ(tag)」という機能があります。タグは、特定のコミットに名前をつけて、記録として保存しておく仕組みです。この記事では、Gitタグの概要、使い方、種類、活用場面を丁寧に解説します。
基本情報・概要
タグとは、特定のコミットに「名前付きのしおり」を付けるような機能であり、主に以下のような目的で使用されます:
- リリースポイントの記録(例:v1.0.0)
- デプロイバージョンの管理
- CI/CDでの自動トリガーやビルド条件指定
- 過去バージョンへのロールバック参照
タグはGitの履歴に対する不変の識別ラベルとして、プロジェクトの管理やトラブルシューティングでも大きな役割を果たします。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
種類 | 説明 |
---|---|
軽量タグ | 名前だけを付ける。メタ情報なし。 など |
注釈付きタグ | 作者、日時、メッセージ、署名などを含む。 または 使用 |
署名付きタグ | GPG署名付き。公式リリースや信頼性の保証に利用 |
リリースやマイルストーンに使うなら、**注釈付きタグ(annotated tag)**が基本です。
深掘り解説
タグの作成例:
git tag v1.0.0 # 軽量タグ git tag -a v1.0.0 -m "初回リリース" # 注釈付きタグ
タグの確認:
git tag git show v1.0.0
リモートへのタグの送信:
git push origin v1.0.0
すべてのタグをまとめてプッシュ:
git push origin --tags
タグを指定してチェックアウト(過去状態に戻る):
git checkout v1.0.0
※ タグはブランチと違って変更されない前提なので、信頼できるスナップショット管理に最適です。
応用・発展的な使い方
- CI/CDのトリガーとして使う:タグを打つと自動でビルドやデプロイが実行される
- Changelog生成と連動:
からv1.2.0
までの差分を明示v1.3.0
- プロジェクトの安定点を管理:任意のバージョンにすぐ戻せる
- 複数の環境バージョンを分ける:
,v1.0.0-dev
などv1.0.0-prod
タグは「ブランチの一時点」を意味づけすることで、履歴のナビゲーションが非常にしやすくなります。
よくある誤解と注意点(任意)
- タグはブランチのように動かない:過去の特定状態を「参照する」ための静的ポイント
- タグを変更してpushし直すと事故の元:変更内容が一致しないタグを強制上書きするのは避ける
- タグの削除はローカルとリモートで別:
とgit tag -d
の両方が必要git push origin :refs/tags/xxx
- 軽量タグはメタ情報を持たない:将来的な管理を考えるとannotated推奨
タグは“コードの記念碑”。長く残るものだからこそ、正しく・丁寧に扱いましょう。
まとめ
Gitのタグは、開発の節目やバージョン管理を明示的に記録できる重要な機能です。
ブランチが「作業中の流れ」だとすれば、タグは「記録としての節目」。
特にリリース管理やCI/CDと組み合わせることで、安定した開発・運用フローの実現につながります。
まずはリリースや完成のたびに
git tag -a
を使う習慣をつけることから始めましょう。