コメント
公開日: 2025/06/02
コメントとは?──未来の自分と他人のために書くコードのナビゲーション
はじめに
「コードは読めば分かる」は理想かもしれませんが、現実には限界があります。
特に複雑な処理や非自明な設計意図は、言語ではなく言葉で補足しないと伝わらないことも多いものです。
そこで重要になるのが「コメント(Comment)」です。本記事では、コメントの目的・種類・書き方・アンチパターンまでを体系的に解説します。
基本情報・概要
コメントとは、コード中に記述される実行されないメモ・補足の文章です。
主に次の目的で用いられます:
- コードの意図や背景を補足説明する
- 処理の分岐や計算式の意味を明示する
- TODOやFIXMEなどの作業メモを残す
- ドキュメントコメントとして外部出力する(API仕様など)
コメントは“読み手の理解を助ける”ための設計上の補助線です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
種類 | 用途・特徴 |
---|---|
単一行コメント | や などを使い、1行のみ補足 |
複数行コメント | で囲む形式、まとめて説明したいときに便利 |
ドキュメンテーションコメント | 関数・クラスの上部に書いて仕様生成にも使う形式(JSDoc, docstringなど) |
TODO/FIXME | 後で行う処理や暫定的な修正ポイントの明示 |
コメントは“コードの影”ではなく、“読者への案内板”です。
深掘り解説
JavaScript でのコメント例:
// 入力バリデーション(空文字は弾く) if (!input.trim()) return; /** * ユーザー情報を取得するAPI * @param {number} userId - ユーザーID * @returns {Promise<User>} */ async function fetchUser(userId) { // FIXME: APIレスポンスの型不一致対応中 const res = await fetch(`/api/users/${userId}`); return res.json(); }
Python でも同様に、
#
や """ docstring """
でコメントを記述します。
コメントを書く際の基本姿勢:
- 何をしているか よりも なぜしているか を書く
- 設計思想や制限事項、例外的対応などを明記する
- コードそのものが明快なら、無理にコメントを足さない
応用・発展的な使い方
- JSDoc / TypeDoc / Pydoc などでAPIドキュメントを自動生成
- IDE補完に役立つ型ヒントコメント
- コードレビューでの説明補助としてコメント活用
- GitHub上の行コメントと連携して設計を伝える
コメントは“コードの未来”に対して責任を持つ行為でもあります。
よくある誤解と注意点(任意)
- 「多ければ多いほど良い」わけではない:ノイズになるコメントは害
- コードとコメントが乖離する:コード変更時にコメントも更新必須
- コードで説明できることを重複して書く:命名と構造が優先されるべき
- TODOの放置:継続的に確認し、必要ならIssue化する
コメントとは「親切」であると同時に、「責任」の証でもあります。
まとめ
コメントは、**コードを他人や未来の自分が理解できるようにするための“補助言語”**です。
無駄なく、正確に、設計の意図や背景を共有することで、コードの保守性とチーム全体の効率は大きく向上します。
「あとから読んだ人が迷わないように」と意識して、コメントを書く習慣を育てていきましょう。