例外処理
公開日: 2025/06/02
例外処理とは?──エラーに強い堅牢なコードを書くための基本と応用
はじめに
プログラミングにおいて「エラー」は避けられません。しかし、適切に扱わなければ、ユーザーに悪影響を与えるだけでなく、アプリケーション全体が停止するリスクもあります。そんなときに必要なのが「例外処理(Exception Handling)」です。本記事では、例外処理の基本構文、考え方、ベストプラクティス、言語ごとの違いなどをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
例外処理とは、プログラム実行中に発生する予期しないエラー(例外)に対して、安全に対処する仕組みです。正常な処理の流れを中断して、別の処理に切り替えることで、アプリケーションの信頼性を高めます。
多くの言語で
try
、catch
(あるいは except
)を使って実装されます。エラーが発生する可能性がある処理を try
に書き、その後のエラーハンドリングを catch
や except
に任せる構造です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
構文キーワード | 役割 |
---|---|
try | 例外が発生する可能性のある処理を囲む |
catch / except | 発生した例外を受け取り、適切に対処 |
finally | 例外の有無に関わらず必ず実行される処理(リソース解放など) |
throw / raise | 意図的に例外を発生させる |
例外処理は「予期しない事態」を「予測して備える設計」の一部です。
深掘り解説
JavaScriptでは次のように記述します:
try { const result = riskyOperation(); console.log("成功:", result); } catch (error) { console.error("エラーが発生しました:", error.message); } finally { console.log("後始末処理(例:接続解除)"); }
Pythonでは以下のような構文になります:
try: result = risky_operation() print("成功:", result) except Exception as e: print("エラーが発生:", str(e)) finally: print("後始末処理")
どちらも、例外が発生してもアプリケーションが強制終了せず、代替処理やログ記録に移行できるのが強みです。
応用・発展的な使い方
- 独自の例外クラス定義:意味のある例外名を付けて、より明確な制御を行う
- ログ記録と通知:catchブロックでログを記録し、監視システムに通知
- 複数の例外を分岐処理:状況に応じた個別対処を行う(例:接続エラー vs 入力エラー)
- 再スロー(rethrow):一部処理後、上位に例外を投げ直す
より大規模なシステムでは、グローバル例外ハンドラや中央集中ログなどとも連携されます。
よくある誤解と注意点(任意)
- 例外を握りつぶして何もしない:catchブロックで空にするとバグの温床に
- 本来は例外でない処理を例外として扱う:if文で十分な分岐をtryに依存する
- finallyを使わずリソースを解放しない:ファイルやDB接続が残りっぱなしに
- すべてをtryで囲ってしまう:ロジック全体が読みにくく、予測不能になる
「エラーは起きるもの」という前提のもとで、明示的に、分かりやすく処理を分離することが大切です。
まとめ
例外処理は、エラー発生時の安全な対処を可能にし、アプリケーションの信頼性・安定性・ユーザー体験を大きく左右する重要な構文です。try-catch-finally を正しく使いこなし、ログ記録や通知、リソース解放といった対応を組み込むことで、堅牢な設計が可能になります。慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、むしろ「安心して壊せる」コードを書く第一歩でもあります。エラーに備えるのではなく、エラーを活かす設計へ踏み出しましょう。