サブネット
公開日: 2025/06/03
サブネットとは?ネットワーク分割による効率的なIPアドレス管理の基本
はじめに
コンピュータネットワークを設計するうえで、IPアドレスの割り当てと管理は重要なテーマです。
その中で「サブネット(サブネットワーク)」は、IPネットワークを論理的に分割し、効率よく管理するための技術です。
この記事では、サブネットの意味、構造、計算方法、設計時のポイントをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
サブネットとは、1つのIPネットワークを複数の小さなネットワーク(サブネット)に分割することです。
例:
IPアドレス
192.168.1.0/24
は 256個のアドレスを持つ1つのネットワーク→ これを
192.168.1.0/25
と 192.168.1.128/25
の2つに分割(128個ずつ)
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
サブネットマスク | ネットワーク部とホスト部の境界を定義 | 255.255.255.0(/24) |
CIDR表記 | IP/ビット長で範囲を指定する形式 | 192.168.10.0/24 |
ブロードキャスト | サブネット内のすべてのホスト向けアドレス | 192.168.10.255(/24の最終アドレス) |
ゲートウェイ | サブネットから外部へ出るルーターのIP | 192.168.10.1 など |
深掘り解説
なぜサブネット化するのか?
- トラフィックの分離:部署や部門ごとにネットワークを分けることで、ブロードキャストを制限
- セキュリティ向上:ファイアウォールやACLを使ってネットワーク単位でアクセス制御
- IPアドレスの効率利用:無駄なアドレス消費を防ぎ、小規模ネットワークにも適切に割当可能
- VPC(仮想プライベートクラウド)での使用:AWSやGCPでもサブネット設計は基本
サブネットの計算例(IPv4)
ネットワーク:192.168.0.0/26 [サブネットマスク](/articles/subnet-mask):255.255.255.192 ホスト数:2^(32-26) - 2 = 62台(ネットワーク・ブロードキャスト除く) 範囲:192.168.0.0 〜 192.168.0.63
計算に便利なツール
- IP Subnet Calculator(オンライン)
(Linuxコマンド)ipcalc
(Pythonライブラリ)cidr_merge
応用・発展的な使い方
- VLANと連携:物理ネットワーク上で仮想的に分離されたネットワークにサブネットを割当
- ルーティング最適化:サブネット単位でスタティックルートを設定し、経路制御
- DHCPスコープ分割:サブネットごとに異なるIPプールを配布
- クラウドのサブネット設計:パブリックサブネットとプライベートサブネットの使い分け
よくある誤解と注意点
- IPアドレスの割当が連番でない場合でも、範囲指定できるとは限らない(ビット境界に注意)
- ブロードキャストアドレスにパケットを送ると全ホストに届く → 不用意に使うと負荷増
- サブネット分割しすぎると管理が煩雑になりやすい
- VPCの設計ではCIDRの重複や拡張余地を考慮すべき
まとめ
サブネットは、ネットワーク設計においてIPアドレスの割り当てと通信の最適化を図るための重要な技術です。
物理ネットワーク、仮想ネットワーク、クラウド環境を問わず、効率的かつ安全な通信構成を設計するうえで欠かせません。
基本的な構造と計算方法を理解し、自社やプロジェクトの要件に応じたサブネット設計を心がけましょう。