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WebSocket

公開日: 2025/06/02

WebSocketとは?──双方向・リアルタイム通信を可能にする軽量プロトコルの仕組みと活用

はじめに

チャット、ゲーム、通知、株価表示など、「リアルタイムで反応するWebアプリ」はもはや当たり前の時代です。
しかし、HTTPだけでは一方向通信であり、ポーリングなどの工夫が必要でした。
それを根本から変えたのが「WebSocket」。
本記事では、WebSocketの仕組み、HTTPとの違い、実装例、注意点までを分かりやすく解説します。

基本情報・概要

WebSocketは、ブラウザとサーバー間の双方向通信を常時開いた接続で実現する通信プロトコルです。
初回はHTTPで接続を開始し、ハンドシェイク後に専用プロトコルへ切り替わる構造を持ちます。

主な特徴:

  • クライアント⇄サーバーの常時接続・双方向通信
  • イベント駆動・リアルタイム更新
  • 軽量なヘッダー構造(HTTPより通信コストが少ない)
  • ステートフルな接続(接続状態を保持)

WebSocketは「一度つなげば、ずっと会話できる」通信方式です。

比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)

通信方式特徴適した用途
HTTPリクエスト/レスポンスの一方向通信通常のWebページやREST API
Polling定期的なリクエストで更新を疑似取得非常に簡易なリアルタイム対応
WebSocket常時接続による双方向・イベント通信チャット、ゲーム、通知、ライブ更新など
SSE(Server-Sent Events)サーバー → クライアントの一方向ストリーム通知、フィード更新など(片方向でOKな場合)

WebSocketは本格的なリアルタイム性が求められる状況に最適です。

深掘り解説

✅ WebSocketの仕組み

  1. クライアントがHTTPで接続要求
  2. Upgrade
    ヘッダーによりプロトコル変更を要求
  3. サーバーが
    101 Switching Protocols
    で応答
  4. 以後はWebSocketプロトコルで双方向通信を継続
GET /chat HTTP/1.1
Host: example.com
Upgrade: websocket
Connection: Upgrade
Sec-WebSocket-Key: xxxxxxxx==

✅ JavaScriptによる基本実装

const socket = new WebSocket("wss://example.com/socket");

socket.onopen = () => {
  socket.send("こんにちは!");
};

socket.onmessage = (event) => {
  console.log("受信:", event.data);
};

socket.onclose = () => {
  console.log("切断されました");
};
  • wss://
    は暗号化(HTTPS相当)、
    ws://
    は非暗号
  • onmessage
    は受信、
    send()
    は送信
  • サーバーはNode.jsの
    ws
    Socket.IO
    、NestJS、Rails ActionCableなどで実装可能

応用・発展的な使い方

  • チャットアプリの構築:部屋ごとのチャネル・ユーザー状態管理
  • ライブ更新(株価・SNS・ゲーム):データのPush型反映
  • IoTデバイスのモニタリング:Webからリアルタイムで状況監視
  • マルチユーザー同時操作:コラボエディターやホワイトボード系の実装
  • WebRTCとの連携:P2P接続のシグナリングにWebSocketを使用

WebSocketはイベント駆動型アーキテクチャとの相性が良いです。

よくある誤解と注意点(任意)

  • 「WebSocketさえ使えばリアルタイムが速い」は誤解:適切なスレッド管理とキュー設計が重要
  • 接続管理の難しさ:再接続・切断処理・スケーリングに注意
  • ファイアウォールやプロキシとの相性問題:WebSocketが通らないネットワークもある
  • 通信の信頼性確保(順序・重複・喪失):アプリ側でロジック実装が必要

WebSocketは“簡単に速くなる”ツールではなく、“構造が整ってこそ活きる”通信方式です。

まとめ

WebSocketは、リアルタイム・双方向・軽量通信を実現するプロトコルであり、モダンWebやIoT、ゲーム開発において重要な選択肢です。
単なるHTTPの代替ではなく、ユーザーとアプリをリアルタイムでつなぐ設計の軸として導入を検討しましょう。
スモールスタートし、再接続処理やスケーリング設計を意識することで、WebSocketの真価を発揮できます。