ポインタ
公開日: 2025/06/02
ポインタとは?──値ではなく“場所”を指す低レベルプログラミングの基本構造
はじめに
C言語やC++に触れたとき、最初に戸惑うのが「ポインタ(Pointer)」という概念かもしれません。
一般的な変数が「値」を保持するのに対して、ポインタは「メモリ上のアドレス(場所)を保持する変数」です。
本記事では、ポインタの定義・使い方・参照と間接参照・配列との関係・落とし穴までをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
ポインタとは、ある変数や値が格納されているメモリの“アドレス”を保持する変数です。
プログラムが直接メモリ操作を行う手段であり、効率的なデータ処理や構造体の操作に不可欠な概念です。
主な用途:
- 動的メモリ操作(
,malloc
)free
- 配列・構造体のアクセスと操作
- 関数への参照渡し
- データ構造(リスト・ツリー等)の実装
ポインタは「値が“どこにあるか”を示す変数」です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
用語 | 説明 | 記号例 |
---|---|---|
値(Value) | 実際のデータ(数値、文字列など) |
|
アドレス | メモリ上の位置(番地) | (アドレス演算子) |
ポインタ | アドレスを保持する変数 |
|
間接参照(デリファレンス) | アドレスをたどって実際の値を取り出す操作 |
|
ポインタは「アドレスの箱」であり、「その中身を取り出すには *(アスタリスク)」を使います。
深掘り解説
✅ 基本的なポインタの使い方(C)
int a = 5; int* p = &a; printf("%d\n", *p); // => 5(a の値を参照)
:変数&a
のアドレスを取得a
:アドレスを保持するポインタ変数p
:ポインタの指す先にある値を取得(間接参照)*p
✅ ポインタと配列の関係
int arr[3] = {1, 2, 3}; int* p = arr; printf("%d\n", *(p + 1)); // => 2
- 配列名
は、実は 最初の要素のポインタarr
- ポインタ演算(
)で要素を順にアクセスp + n
✅ 関数へのポインタ渡し(参照渡し)
void increment(int* num) { (*num)++; } int main() { int a = 10; increment(&a); printf("%d", a); // => 11 }
- 関数に渡されたアドレスを操作することで実体を変更可能
- C言語では参照渡しはポインタによって実現される
応用・発展的な使い方
- 構造体ポインタ → アロー演算子(
)でアクセス->
- 2重ポインタ(ポインタのポインタ) → 二次元配列や動的配列に応用
- 関数ポインタ → 関数そのものを変数に渡す(コールバックなど)
- 動的メモリ管理(
,malloc
,calloc
)とセットで活用free
ポインタは、効率と柔軟性を追求するC/C++プログラミングの核です。
よくある誤解と注意点(任意)
- 初期化されていないポインタの使用は未定義動作(セグフォ)
と*p++
は意味が異なる(優先順位に注意)(*p)++
- 解放済みメモリへのアクセス(ダングリングポインタ)
- NULLチェックなしの参照はクラッシュ要因
ポインタを扱うには「メモリと変数の関係を正確に把握する力」が求められます。
まとめ
ポインタは、値ではなく“メモリ上の場所”を扱うことで、高速・柔軟なプログラミングを可能にする仕組みです。
C/C++を始めとする低レベル言語では不可欠な概念であり、データ構造・メモリ最適化・関数設計など幅広く活用されます。
その一方で、安全性・理解・設計の難易度も高く、バグの温床にもなり得るため、丁寧な扱いが不可欠です。
「なぜそのアドレスを渡すのか」「今何を指しているのか」を常に意識することが、ポインタマスターへの道となります。