マージ
公開日: 2025/06/02
マージとは?──複数の開発ラインを統合するGitの基礎操作
はじめに
Gitでの開発では、ブランチを使って安全に新機能や修正を進めるのが基本です。しかし最終的には、その成果を「元のコード」に統合する必要があります。これが「マージ(merge)」です。マージを正しく理解すれば、チーム開発における変更の統合と衝突の回避が格段にスムーズになります。本記事では、マージの基本概念、操作方法、競合解決、そしてベストプラクティスを解説します。
基本情報・概要
マージ(merge)とは、複数のブランチで行われた変更を1つに統合するGitの操作です。主に次のような場面で使われます:
- featureブランチをmainブランチに統合
- チームメンバーの作業をまとめる
- バグ修正やホットフィックスを本番コードに反映
マージの際には、Gitが自動で差分を解析し、変更を統合します。ただし、同じ箇所が編集されている場合は「競合(コンフリクト)」が発生し、手動での解決が必要です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
マージ手法 | 特徴 |
---|---|
通常のマージ(--no-ff) | マージコミットが作られる。履歴が明確に残る |
Fast-forwardマージ | ブランチの変更が直線的に適用され、履歴がシンプルになる |
squashマージ | 複数のコミットを1つにまとめてマージ。履歴を整理したいときに有効 |
rebase + merge | 履歴を直線化してからマージ。コンフリクトは少ないが操作に注意が必要 |
チームでの合意のもと、目的に応じてマージ戦略を選ぶことが重要です。
深掘り解説
通常のマージ操作の例:
git checkout main git pull origin main # 最新のmainを取得 git merge feature/login # feature/login を main に統合
Fast-forwardマージの場合、mainブランチが変更されていない場合に限り、履歴が1本化されます:
git merge --ff-only feature/login
GitHubでは、Pull Requestのマージ時に以下の選択肢があります:
- Merge Commit(通常のマージ)
- Squash and Merge(コミットを1つにまとめる)
- Rebase and Merge(履歴を直線にする)
チームのレビュー体制や履歴管理方針に応じて選びましょう。
応用・発展的な使い方
- 一時的なマージ(
):マージ後に内容を確認してから確定したいとき--no-commit --no-ff
- コンフリクト時のツール連携:VS CodeやGitKrakenなどのGUIツールで視覚的に解決
- 複数のブランチの再統合:マージ先と元が複数ある場合でも順を追って統合できる
- マージ戦略のドキュメント化:誰が・いつ・どの方法でマージすべきかを明確にする
正しいマージ文化は、チーム全体のスムーズな開発進行を支えます。
よくある誤解と注意点(任意)
- マージ=ただの上書きではない:履歴の統合と差分の解析を自動で行う高度な操作
- 競合はエラーではない:どちらかが悪いのではなく、正解が複数ある状態
- 未確認でマージするとバグの温床に:CIやレビューを通してからマージするのが基本
- squashばかり使うと履歴がわかりづらくなる:粒度と意味を持った履歴が大切
「マージはコードを混ぜる作業ではなく、“意図をまとめる設計作業”」と考えると見方が変わります。
まとめ
マージは、Gitの中でもブランチ運用を成功に導くための最重要操作のひとつです。正しい手順と方針でマージを行えば、機能ごとの分業・並行開発・本番管理までが安全かつ効率的に行えるようになります。まずは
git merge
の基本を理解し、Pull Requestを通じて“安全で意味のある統合”を実践していきましょう。