RPE(主観的運動強度:Borgスケール)
公開日: 2025/06/04
RPE(主観的運動強度:Borgスケール)
はじめに
「今日は心拍数は低いけど、なぜかキツい…」
「スピードが遅いのに、体感ではかなり追い込んでる」
そんなときに役立つのが RPE(主観的運動強度) です。これは、自分自身の“キツさ”を数値で表現する方法で、トレーニングの質を自己管理するための強力な指標になります。
基本情報・概要
RPE(Rating of Perceived Exertion)とは、運動中に自分が感じている“きつさ”を数値で表す主観的指標のことです。最も代表的なのは「Borgスケール」と呼ばれる数値表現法で、数字に応じて身体的・心理的負荷を判断できます。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
Borgスケール数値 | 主観的強度の目安 | 状態の例 |
---|---|---|
6〜8 | ごく軽い〜軽い | ウォーキング、息も上がらず会話も余裕 |
9〜12 | ややきつい | 軽めのジョグ、少し息が上がるが会話可能 |
13〜14 | きつい | 通常のラン、会話は短文なら可 |
15〜16 | かなりきつい | スピード走やビルドアップ走、集中力が必要 |
17〜18 | 非常にきつい | インターバル・レース終盤、呼吸はかなり苦しい |
19〜20 | 限界 | ダッシュ/オールアウト、長くは持たない |
※古典的なBorgスケールは「6~20」の数値で構成され、心拍数×10に相関する設計です。
深掘り解説
なぜRPEが重要なのか?
- 心拍計がなくても、強度を感覚でコントロールできる
- 疲労・暑さ・睡眠不足などの体調変動を反映できる
- 同じペースでも「今日はキツい」と感じる場合、オーバートレーニングの予兆として活用可能
- 定量化しづらい「体感」を記録する手段になる
ランニングにおけるRPE活用法
- ジョグ(RPE9〜11):脂肪燃焼・リカバリーに最適
- マラソンペース走(RPE12〜13):会話は難しいがコントロールできるペース
- LT走/テンポ走(RPE14〜15):ややきつく、話すのは困難
- インターバル走(RPE17〜19):呼吸困難、完全に集中する必要あり
RPEでトレーニングログを可視化
- 日記やアプリ(Garmin, TrainingPeaks等)に
「今日のRPE:13、天候:暑い、内容:10kmペース走」
- 日ごとの主観的強度の累積で“疲労傾向”を把握
- チームやコーチとの共有にも活用可能
応用・発展的な使い方
- RPEを基準に“ビルドアップ”を設定
- 例:3kmごとに RPE11→13→15 でペース調整
- RPEを使った休養判断:連日RPEが高い日は“回復日”に
- レースペース決定の一助:試走で“RPE13”で走れるペースを計測
よくある誤解と注意点
- 「RPEは感覚だから信用できない」→ ×:長期的に見れば非常に安定した指標
- 「速ければRPEも高い」→ △:体調や気象条件、地形でもRPEは変化する
- 「数値で記録する意味がない」→ ×:主観を可視化することでトレーニング全体を最適化できる
まとめ
RPEは、“自分の感覚を数値化する”という最も原始的で実用的なトレーニング指標です。
スピード、心拍数、ペース、どれにも左右されず、自分の身体の声を聞くための道具になります。
まずは練習後に一言、「今日のRPEは○○」と記録してみることから始めましょう。数字で自分のコンディションを“見える化”できれば、より良いトレーニング計画が描けます。