HRR(心拍予備域)
公開日: 2025/06/04
HRR(心拍予備域)
はじめに
「心拍トレーニングをしたいけど、最大心拍数だけでは強度が合わない…」
「もっと“自分に合った”ゾーン設定が知りたい」
そんなときに役立つのが**HRR(心拍予備域:Heart Rate Reserve)**です。これは、安静時と最大心拍数の差を基に、より個人に最適化された心拍トレーニングの指標を提供してくれます。
基本情報・概要
HRR(Heart Rate Reserve)とは、**最大心拍数と安静時心拍数の差(=予備域)**を指します。
この差をもとに、運動強度(%)に応じた心拍数を算出することで、より正確なトレーニングゾーンを設定できます。
カルボーネン法(Karvonen Formula)という計算式で用いられます。
HRRの計算式(カルボーネン法)
運動中目標心拍数 = ((最大心拍数 − 安静時心拍数) × 運動強度%) + 安静時心拍数
比較・分類・特徴の表形式まとめ
用語 | 定義 | 備考 |
---|---|---|
最大心拍数(MHR) | 一般的には「220−年齢」で推定 | 個人差あり/実測推奨 |
安静時心拍数(RHR) | 目覚め直後の安定した心拍数 | 50〜70 bpmが一般的 |
HRR(予備域) | 最大心拍数 − 安静時心拍数 | 有酸素能力や疲労度の参考になる |
カルボーネン法 | HRRを使った運動心拍数の計算法 | パーソナライズされた強度設定が可能 |
深掘り解説
実例:HRRを使ってゾーン計算(30歳・安静時60・最大190と仮定)
- HRR = 190 − 60 = 130
- 強度60%の心拍数 → (130 × 0.6) + 60 = 138 bpm
- 強度80%の心拍数 → (130 × 0.8) + 60 = 164 bpm
運動強度 | 目的 | 心拍数(例) |
---|---|---|
50〜60% | 回復走/ウォームアップ | 約125〜135 |
60〜70% | LSD・長距離有酸素 | 約135〜145 |
70〜80% | ペース走・テンポ走 | 約145〜165 |
80〜90% | LT走・インターバル | 約165〜175 |
90〜100% | スプリント・全力域 | 175以上 |
応用・発展的な使い方
- GarminやPolarなどで「HRRベースゾーン設定」が可能
- RHR(日々の安静時心拍)を記録し、疲労度・回復度をモニタリング
- EPOCやVO₂Maxとの連動で、パフォーマンスと心拍の関係を可視化
- HRV(心拍変動)と合わせて、トレーニングの“適切なタイミング”を判断
よくある誤解と注意点
- 「最大心拍数だけで十分」→ △:HRRの方が“個人差”に強い
- 「毎回高強度で追い込めば効果的」→ ×:心拍ゾーンごとの目的に沿って使い分けが大切
- 「心拍は常に一定に上がる」→ ×:気温・疲労・脱水などで変動あり/毎回記録を参考に
まとめ
HRR(心拍予備域)は、個人の心拍特性を活かした“最適な強度設定”ができるトレーニング指標です。
最大心拍数と安静時心拍数の差というシンプルな構造ながら、精度の高いゾーン管理が可能になります。
ペースやスピードに加え、“心拍ベースの自己最適化”を取り入れれば、あなたのトレーニングはより安全かつ効果的に進化します。