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設計ドキュメント

公開日: 2025/06/03

設計ドキュメントとは?システム開発の品質と再現性を高める設計資料の要点

はじめに

ソフトウェア開発において「設計ドキュメント」は、開発チーム内の共通認識を確立し、将来的な保守・拡張にも耐える“道しるべ”となる存在です。
要件定義で「何を作るか」が決まったら、次は「どう作るか」を定義するのが設計フェーズ。
この記事では、設計ドキュメントの種類、目的、構成内容、作成のコツについて解説します。

基本情報・概要

設計ドキュメントとは、システムやソフトウェアを実現するための構造・挙動・仕様を明文化した技術文書です。
開発者、テスター、インフラ担当者など複数の関係者が設計内容を正しく理解・共有するための資料です。

分類としては以下の2つに分かれます:

  • 外部設計書(基本設計書)

    • ユーザー視点・機能レベルの設計
    • UI、画面遷移、入出力仕様、APIインターフェースなど
  • 内部設計書(詳細設計書)

    • 実装視点・コードレベルの設計
    • クラス構成、データベース設計、アルゴリズム仕様など

比較・分類・特徴の表形式まとめ

種類主な内容対象読者
外部設計書画面設計、入出力仕様、API仕様、業務フロー顧客、PM、QA、インフラ担当など
内部設計書クラス図、ER図、処理手順、制御フロー実装担当者、テスター、コードレビュア

深掘り解説

よく使われるドキュメント構成例

外部設計書の例:

  • 画面一覧・画面遷移図
  • 入出力項目一覧(帳票、CSV等)
  • API設計書(エンドポイント、パラメータ、レスポンス)
  • 業務フロー図(BPMNなど)

内部設計書の例:

  • クラス図(UML)
  • ER図(Entity-Relationship)
  • テーブル定義書
  • 処理フロー図、シーケンス図
  • ロジック仕様(擬似コード、例外処理フロー)

作成の目的とメリット

  • 実装者以外のメンバーと構造・仕様を共有できる
  • 開発中・保守時の参照資料となり、属人化を防止
  • 設計レビューによる品質担保・バグの早期発見
  • 後のドキュメント生成(テスト仕様書やマニュアル)にも再利用可能

応用・発展的な使い方

  • MarkdownやPlantUMLで軽量に記述:コードと一緒にGit管理
  • 設計ドリブン開発(DDD、TDD)との連携:設計書が実装の指針に
  • NotionやConfluenceと連携:チーム内で設計知識をナレッジ化
  • API仕様はOpenAPIで自動生成:ドキュメントと実装を同期管理

よくある誤解と注意点

  • 設計書が「重いだけの資料」になりがち → 実用性を意識して更新前提で設計
  • コピペ設計書は内容が曖昧になりやすい
  • ドキュメントと実装の乖離 → 自動化ツールやレビューで同期を保つ工夫が必要
  • 「完成させる」よりも「使える・見返す」文書を目指す

まとめ

設計ドキュメントは、システム開発における“技術的な合意形成”の土台です。
適切な粒度・構成で記述し、レビュー・更新・共有を前提とした運用を行うことで、プロジェクトの品質と再現性を大きく向上させます。
形式にこだわるよりも、読み手・使い手を意識した“生きた設計書”を目指しましょう。