継続的な振り返りの仕組み(KPT/ふりかえり会)
公開日: 2025/06/10
継続的な振り返りの仕組み(KPT/ふりかえり会)
はじめに
チームで働く中で、「改善したいのに流されてしまう」「同じミスを繰り返してしまう」と感じたことはありませんか?そうした課題に有効なのが、定期的な「振り返り」の仕組みです。特に、シンプルかつ実践的なKPT法やふりかえり会は、アジャイル開発をはじめ、さまざまなチームで広く活用されています。本記事では、KPTの基本と継続的な振り返り会の運営方法について詳しく解説します。
基本情報・概要
振り返りとは、一定期間の行動や成果をふりかえり、次に活かすための仕組みです。KPT(Keep/Problem/Try)は、その中でも代表的なフレームワークで、以下のように分類されます。
- Keep:今後も続けたい良い取り組み
- Problem:問題点、課題、うまくいかなかったこと
- Try:次回に試す・改善するアクション案
定期的なふりかえりを行うことで、**改善サイクル(PDCA)**が自然と回り、チームの学習と成長を促進できます。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
Keep | 続けたいこと/よかった点 |
Problem | 課題/うまくいかなかったこと |
Try | 次にやってみること/改善アイデア |
実施頻度 | 週1~月1ペースが一般的 |
実施形式 | 対面・オンラインどちらでもOK |
ポジティブとネガティブをバランスよく扱えるのがKPTの魅力です。
深掘り解説
1. KPTの実施ステップ
- 時間を確保する(30〜60分程度)
- 直近の活動をふりかえる資料やメモを用意
- ホワイトボードやオンラインツール(Miro, Jamboard, Scrapboxなど)を用意
- 各自でKeep/Problem/Tryを書き出し、全員で共有
- Tryを次回のToDoやOKRと紐づけて終了
無理なく回すには、**「準備しすぎないこと」**がコツです。
2. オンラインでのふりかえり運営の工夫
- 共同編集ツール(Google Docs/FigJam)を使ってリアルタイムで記入
- 書く→共有→ディスカッションのリズムを守る
- 発言しやすいように「チェックイン」「アイスブレイク」を挟む
チームに応じて、楽しく話せる雰囲気づくりが継続のカギになります。
3. Tryを「やりっぱなし」にしないために
- Tryはなるべく具体的・実行可能なものにする(いつ・誰が・どうやって)
- Tryの実行状況を、次回のふりかえり冒頭でふりかえる
- 「Try実行率」を可視化するチームもある(例:Try達成率ボード)
継続的な学習サイクルにするには、「実行→ふりかえり→調整」のループが不可欠です。
応用・発展的な使い方
- YWT(やったこと/わかったこと/次にやること) や Fun/Done/Learn など別形式の導入
- 定量データ(KPIや進捗)と組み合わせて「数字でふりかえる」
- ふりかえりの内容を**ナレッジ化(社内Wiki化)**して全体で共有
定着すれば、KPTは“チームのカルチャー”になります。
よくある誤解と注意点
- 「問題探し」になってしまうと雰囲気が悪くなる → Keepを先に共有し、前向きな空気を作る
- Tryが抽象的すぎると行動につながらない → 「行動レベル」で落とし込むことが重要
- 毎回同じ内容でマンネリ化 → 定期的にファシリテーションの工夫を取り入れる
まとめ
KPTやふりかえり会は、チームの内省と改善を日常化するための強力なフレームワークです。継続的に取り組むことで、トラブルの予防や成功パターンの再現が可能になります。まずは「簡単に1回試してみる」ことから始め、チームに合ったスタイルを育てていきましょう。