フィードバックの伝え方
公開日: 2025/06/10
フィードバックの伝え方
はじめに
チームで成果を出すために欠かせないのが、フィードバックのやりとりです。 しかし、「どう伝えればいいか分からない」「相手を傷つけてしまうのでは」と悩む声も多く、適切な伝え方ができていないケースも見受けられます。
本記事では、フィードバックを「伝える技術」から「関係性を築く手段」へと昇華するための基本原則と実践テクニックを紹介します。
基本情報・概要
フィードバックとは、相手の行動や成果に対して気づき・改善点・称賛などを伝えるコミュニケーションのことです。 単なる「指摘」や「ダメ出し」ではなく、相手の行動変容・成長を促す建設的な対話です。
フィードバックは主に2種類に分かれます:
- `ポジティブ・フィードバック`:良かった点を具体的に伝える
- `ネガティブ(建設的)フィードバック`:改善の余地や期待を伝える
比較・分類・特徴の表形式まとめ
種類 | 内容例 | 特徴・注意点 |
---|---|---|
ポジティブ・フィードバック | 「先週の会議での説明、すごく分かりやすかったよ!」 | 具体性を持たせるとより効果的。承認欲求と行動の強化に繋がる |
建設的フィードバック | 「資料は分かりやすかったけど、背景の説明がもう少し欲しかった」 | 否定ではなく“改善の方向”を意識して伝えることが重要 |
360度フィードバック | 複数人からの意見を取り入れる | 客観性が高まりやすいが、伝え方の設計が問われる |
リアルタイム・フィードバック | 行動直後に即時で伝える | タイミングが良いほど効果的。積極的に活用する文化づくりが必要 |
フィードバックは「内容」よりも「関係性」と「タイミング」が成否を分けます。
深掘り解説
-
“主語は自分”で伝える
- ×「あなたの説明は下手だった」
→ ○「私は少し理解が難しかったかも」 - 自分視点で語ることで、相手を責めずに伝えられる
- ×「あなたの説明は下手だった」
-
“事実”と“解釈”を分ける
- ×「段取りが悪かった」→ 抽象的で受け取りにくい
→ ○「説明が10分延びて、その後の議論に時間が足りなかった」→ 事実に基づく
- ×「段取りが悪かった」→ 抽象的で受け取りにくい
-
“期待”を添える
- 単に「ここがダメ」ではなく、「次回はこうしてくれると助かる」と伝えることで建設的に
- 相手の未来の可能性に注目する姿勢が、前向きな受け止めに繋がる
-
タイミングは“なるべく早く・個別に”
- 即時かつ1on1の場で伝えるのが理想。パブリックな場では称賛、指摘は非公開が基本
応用・発展的な使い方
- `SBIモデル`(Situation→Behavior→Impact)で構造化されたフィードバック
例:「昨日の会議(S)で、議論の流れを整理してくれたこと(B)は、皆が理解を深めるのに役立ったよ(I)」 - `フィードバックボード`を設けて、ポジティブなコメントを見える化
- `週次1on1`で“フィードバックタイム”を定例化し、習慣として定着させる
- `フィードバックトレーニング`やロールプレイをチームで実施し、風土を醸成
よくある誤解と注意点
- 「ネガティブは避けた方がいい」→ 正しい伝え方をすれば、成長の大きなチャンスに
- 「正論なら響くはず」→ 内容が正しくても伝え方次第で防御反応を引き出してしまう
- 「上司からするもの」→ フィードバックは双方向。部下から上司へのフィードバックも重要
まとめ
フィードバックは、チームの信頼・成長・成果をつなぐ“橋”のような存在です。
「何を言うか」だけでなく、「どう言うか」「誰が言うか」「どんな関係性で言うか」がすべてつながっています。
まずは、相手を尊重しつつ具体的・前向きに伝えることから始めましょう。 フィードバックの質が変われば、チームの空気も成果も確実に変わります。