心理的安全性とは
公開日: 2025/06/10
心理的安全性とは
はじめに
チームが成果を出すには、メンバー同士が安心して意見を出し合い、失敗を恐れずに行動できる環境が必要です。近年注目されているこの“チームの土壌”を表す概念が「心理的安全性」です。本記事では、心理的安全性の定義や背景、メリット、実現方法について詳しく解説します。
基本情報・概要
心理的安全性(Psychological Safety)とは、**「このチームでは、失敗や異なる意見を表明しても、罰されたり評価が下がったりしないと感じられる状態」**を指します。
1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱し、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」によって、チームの生産性を高める最大の要因であることが示されました。
心理的安全性の高いチームでは:
- 質問・相談・反対意見が活発に出る
- 失敗を共有し、改善につなげる空気がある
- チームメンバー間の信頼と尊重がベースにある
比較・分類・特徴の表形式まとめ
チームの状態 | 心理的安全性が低い | 心理的安全性が高い |
---|---|---|
発言機会 | 発言を避ける、無言が多い | 誰でも気軽に発言できる |
失敗時の反応 | 責任追及、黙って隠す | 共有・学習・チームでカバー |
アイデアの提案 | 恥をかくことを恐れて出しにくい | 未完成でもまず出してみる空気がある |
人間関係の距離感 | 距離がある、壁を感じる | 雑談や相談が自然にできる |
心理的安全性は「優しさ」ではなく、「率直さと信頼」のバランスで構成されます。
深掘り解説
1. なぜ心理的安全性が重要か
- 創造性と挑戦が生まれる
- 問題やミスの早期発見・共有ができる
- 学習と改善のサイクルが回る
- エンゲージメントや定着率が向上する
チームの成果は、メンバーが「安心してリスクを取れるか」に大きく左右されます。
2. 高めるための具体施策
- 定例で「感じたこと・気づいたこと」を共有する時間を設ける
- ファシリテーターが発言のハードルを下げる工夫をする(例:挙手機能、チャット回答)
- 上司・リーダーが「質問・意見を歓迎する」姿勢を体現する
- 感謝・称賛・共感を言葉で伝える文化をつくる
小さな「安心できた体験」の積み重ねが、心理的安全性を育てます。
3. 注意したいポイント
- 仲良し=心理的安全性ではない
→率直なフィードバックや厳しい対話があるからこそ、真の安全性が成り立つ - 意見を無理に引き出そうとすると逆効果
→安心できる「聞き方・応答」のデザインが必要 - 安全性を損なう言動は一瞬で空気を壊す
→冗談や否定のニュアンスに特に注意
応用・発展的な使い方
- 1on1で感情や不安を共有する場を定期的に設ける
- **振り返り(KPT)**に「感情や関係性」も含める
- 心理的安全性を測る簡易サーベイ(例:Googleフォーム、5段階評価)で現状を可視化する
「心理的安全性を測定し、チームで対話する」こと自体が安全性向上につながります。
よくある誤解と注意点
- 「なんでも許される状態」ではない → 甘さではなく“率直さ+敬意”が前提
- 「時間が経てば自然にできる」ではない → 意図的に設計・育成が必要
- 上司だけの責任ではなく、メンバー全員が空気を作る当事者
まとめ
心理的安全性は、成果を出すチームに共通する“見えない土台”です。行動・言葉・制度のひとつひとつが空気をつくります。「このチームなら何でも言える」「一緒に前向きに変えていける」と思える状態を目指して、まずは小さな声を歓迎する姿勢から始めてみましょう。