KPIとOKRの違いと使い分け
公開日: 2025/06/10
KPIとOKRの違いと使い分け
はじめに
チームやプロジェクトを推進するうえで、目標を設定し、進捗を管理する手法としてよく使われるのが「KPI(Key Performance Indicator)」と「OKR(Objectives and Key Results)」です。 しかし、「どちらを使えばいいの?」「どう使い分けるべきか分からない」という声も多く聞かれます。
本記事では、KPIとOKRの基本的な違いと、それぞれの適した使いどころを丁寧に解説します。
基本情報・概要
KPIとは、定量的な成果指標を用いて、業務やプロジェクトの目標達成度を測るための「進捗メーター」のようなものです。 一方、OKRは「定性的な目標(O)」と、それを測るための「成果指標(KR)」をセットで定義し、チームや組織の方向性と意欲を一致させるための手法です。
両者は目的や設計思想が異なり、「どちらかが優れている」というよりも「どの場面でどちらを使うか」が重要になります。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | KPI(Key Performance Indicator) | OKR(Objectives and Key Results) |
---|---|---|
目的 | 現状維持と最適化。定常業務の進捗管理 | 挑戦と成長。ストレッチ目標への挑戦 |
性質 | 定量的、測定可能、ルーチン向き | 定性的+定量的、抽象度が高いが方向性重視 |
評価軸 | 目標達成率100%が望ましい | 60〜70%の達成で良好とされる |
適用対象 | 営業指標、問い合わせ数、CVR、稼働率などの指標 | チームビジョン、組織変革、イノベーション目標など |
設定頻度 | 月次・週次など短期スパン | 四半期単位が一般的(ただし柔軟に調整可能) |
KPIは「日々の健康チェック」、OKRは「未来へのナビゲーション」とも言われます。
深掘り解説
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KPIの役割:業務パフォーマンスの維持・向上
- 例:月間売上300万円、問い合わせ初回返信24時間以内、開発リードタイム3日以内
- 一定の基準値を維持・超過することが評価対象となる
- 主に「安定運用」や「改善施策の効果検証」に適する
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OKRの役割:挑戦的な成長と方向づけ
- 例:O:チームの信頼性を高める
KR1:サービスの稼働率を99.9%以上に保つ
KR2:NPSスコアを+10上げる - 組織や個人が“なりたい姿”を起点に目標を設計
- 「達成すること」よりも「挑戦の質」や「学び」が重要
- 例:O:チームの信頼性を高める
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併用が可能な理由
- KPIは「現状維持・安定運用」の監視役
- OKRは「変革・成長」に向けた旗振り役
- 組織運営では、この両輪を回すことで成果と進化の両立が実現できる
応用・発展的な使い方
- OKRで方向性を共有 → KPIで成果を定常的にトラッキング
- プロジェクト初期:OKRで目標設定 → 中盤以降:KPIで運用状況を監視
- マネージャー層:OKR中心で組織設計、現場担当:KPI中心で実行と報告
- OKR達成に必要なKPIを紐づけて「戦略と実行の接続」を可視化
よくある誤解と注意点
- 「OKRは柔らかすぎて意味がない」→ KRは定量化が必須。曖昧なままにしない
- 「KPIだけで十分」→ 挑戦や方向性が失われ、惰性的運用になりやすい
- 「OKR達成100%が正解」→ 本来は60〜70%の達成が“良い挑戦”のサイン
まとめ
KPIとOKRは、「管理」と「挑戦」の両輪であり、使い分け・併用することでチームは安定しつつ進化できます。
まずは、自分たちの現状にとって「守るべき数値(KPI)」と「向かうべきビジョン(OKR)」を整理し、それぞれに合った形で目標設定と運用を始めてみましょう。