バックアップとリカバリ
公開日: 2025/06/03
バックアップとリカバリとは?データ保護の基本と復旧戦略の全体像
はじめに
システム障害、サイバー攻撃、操作ミスなどによるデータ損失リスクに備え、バックアップとリカバリは企業にとって不可欠な対策です。
この記事では、バックアップとリカバリの基本的な考え方から、代表的な手法、設計ポイントまでをわかりやすく解説します。
基本情報・概要
- バックアップ(Backup):重要なデータやシステムの状態を、別の場所に複製・保存しておくこと
- リカバリ(Recovery):障害や損失が発生した際に、バックアップから元の状態へ復元すること
バックアップとリカバリはセットで設計・運用され、単に「保存する」だけでなく「復元できる」ことが重要です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
種類 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
フルバックアップ | データ全体を丸ごと保存 | 容量が大きいが復元が簡単 |
差分バックアップ | 前回のフルバックアップ以降の変更のみ保存 | 容量と時間のバランスが取れる |
増分バックアップ | 前回のバックアップ以降の変更のみ保存 | 容量が小さいが復元には複数の世代が必要 |
スナップショット | システムやディスクの状態を瞬時に保存 | 高速に取得可能、仮想環境と相性が良い |
深掘り解説
バックアップの3-2-1ルール
信頼性の高いバックアップ戦略として、次の「3-2-1ルール」が広く推奨されています:
- 3つのコピーを持つ(本番データ+2つのバックアップ)
- 2つの異なるメディアに保存(例:HDDとクラウド)
- 1つはオフサイト保管(地理的に離れた場所)
これにより、自然災害やランサムウェア攻撃などにも耐性のある構成を実現できます。
リカバリの種類
- ファイル単位の復旧:誤削除や破損ファイルの単体復元
- システム全体のリストア:OSやアプリ含めて完全復旧
- ポイント・イン・タイム・リカバリ:特定時点の状態に戻す(DBで有効)
応用・発展的な使い方
- クラウドバックアップ:AWS S3、Google Cloud Storage などを活用
- BCP/DR対策:障害発生時の事業継続や迅速なシステム復旧のための構成
- スケジュール自動化:cronやジョブ管理ツールで定期バックアップを自動化
- 検証環境として活用:バックアップから別環境に復元してテスト用に利用
よくある誤解と注意点
- バックアップがある=安全 ではない(復元できなければ意味がない)
- 定期的なリストア検証を行わないと、いざというときに失敗する可能性あり
- バックアップファイル自体の暗号化・アクセス制御も忘れずに
- スナップショットだけでは永続的な保管には不向き(世代管理が必要)
まとめ
バックアップとリカバリは、あらゆるシステムにおける「最後の砦」です。
適切な戦略と設計、運用体制を整えることで、万が一の事態でも業務継続と信頼性の維持が可能になります。
定期的な点検と復元テストを習慣化し、真に機能するデータ保護体制を構築しましょう。