ポリモーフィズムとは？──共通インターフェースで異なる振る舞いを実現する考え方

はじめに

オブジェクト指向プログラミング（OOP）の3大要素の一つ「ポリモーフィズム（多態性）」は、クラスやインターフェースの使い方をさらに進化させ、同じメソッド名で異なる挙動を実現できるようにする強力な概念です。しかし、抽象的な用語だけに、初心者には少しとっつきにくい部分もあるでしょう。本記事では、ポリモーフィズムの基本的な仕組み、種類、コード例、そして設計上のメリットまでを丁寧に解説します。

基本情報・概要

ポリモーフィズム（polymorphism）とは、「同じインターフェースで異なる型の振る舞いを実現する」プログラミング技法です。ギリシャ語で「多くの形を持つ」という意味を持ちます。

たとえば、「

draw()

比較・分類・特徴の表形式まとめ（任意）

+

最も一般的なのは「サブタイプポリモーフィズム」で、継承やインターフェースと密接に関係しています。

深掘り解説

JavaScriptでは、明示的な型宣言やインターフェースは存在しませんが、プロトタイプベースの継承によりポリモーフィズム的な挙動が可能です。

class Animal {
    speak() {
        console.log("何かが鳴いている");
    }
}

class Dog extends Animal {
    speak() {
        console.log("ワンワン！");
    }
}

class Cat extends Animal {
    speak() {
        console.log("ニャー！");
    }
}

const animals = [new Dog(), new Cat()];
animals.forEach(a => a.speak());

このコードでは、

speak()

Pythonの場合も同様です：

class Animal:
    def speak(self):
        print("何かが鳴いている")

class Dog(Animal):
    def speak(self):
        print("ワンワン！")

class Cat(Animal):
    def speak(self):
        print("ニャー！")

for a in [Dog(), Cat()]:
    a.speak()

応用・発展的な使い方

• プラグイン設計：共通インターフェースを満たす異なるモジュールを差し替え可能にする
• 戦略パターン（Strategy Pattern）：動的に振る舞いを切り替えられるようにする設計
• テストのモック／スタブ切り替え：同じインターフェースを実装するテスト用クラスの利用
• API設計の抽象化：共通のエンドポイントで異なるモデル処理を行う場合などに活用

ポリモーフィズムは、柔軟な拡張性と疎結合な設計の鍵を握っています。

よくある誤解と注意点（任意）

• 「オーバーロード＝ポリモーフィズム」ではない：オーバーロードは静的ポリモーフィズムの一種だが、言語によってサポートが異なる
• 動的ディスパッチの仕組みを理解していない：呼び出し時にどのメソッドが実行されるかを見極める力が必要
• 継承による設計の乱用：ポリモーフィズムを実現するために不必要な継承を追加すると設計が崩れる
• インターフェースの設計不備：意図しない振る舞いを許容してしまう

設計レベルでの慎重な構造化が、ポリモーフィズムの真価を引き出します。

まとめ

ポリモーフィズムは、「共通の操作で異なる振る舞いを可能にする」という、オブジェクト指向における強力な概念です。設計の柔軟性、拡張性、テスト性を大きく向上させる一方で、正しく使わなければ混乱や複雑化の原因にもなります。継承やインターフェースと合わせて理解することで、真にオブジェクト指向らしい設計が可能になります。次はぜひ、自分のコードで意図的にポリモーフィズムを設計してみてください。