MVVM
公開日: 2025/06/02
MVVMとは?──UIロジックを分離し、双方向データバインディングを実現する設計モデル
はじめに
モダンなフロントエンド開発では、「ロジックがViewに混在して保守が大変」「UIの変更がデータ構造に影響しすぎる」といった悩みが頻出します。
そんな問題を解決するために考案されたのが「MVVM(Model-View-ViewModel)」という設計パターンです。
本記事では、MVVMの構造、特徴、MVCとの違い、ReactやVueでの実践方法などを解説します。
基本情報・概要
MVVMとは、Model・View・ViewModel の3層に役割を分離するUI設計パターンであり、主にGUIアプリケーションやSPA(シングルページアプリケーション)で用いられます。
- Model:アプリケーションのデータやドメインロジック
- View:ユーザーに表示されるUI
- ViewModel:Viewの状態を保持・変換し、ModelとViewを仲介(双方向データバインディングを担う)
MVVMはMicrosoftがWPFアプリケーションのために提唱し、その後Vue.jsやKnockout.jsなどに広まりました。
比較・分類・特徴の表形式まとめ(任意)
層名 | 役割 | 実装例(Vue) |
---|---|---|
Model | アプリの状態とデータ。API・ロジック管理 | API モジュール / Pinia |
View | ユーザーに表示されるUI(テンプレート) | のテンプレート部 |
ViewModel | データの中継、UIとのバインディング | / ,
|
MVVMの特徴は、UIロジック(ViewModel)と画面描画(View)を疎結合に保てることです。
深掘り解説
Vue.jsでの典型的なMVVM構成:
<template> <div> <p>{{ message }}</p> <input v-model="message" /> </div> </template> <script setup> import { ref } from 'vue'; const message = ref('こんにちは'); </script>
が ViewModel(リアクティブな状態)ref
+<input>
による 双方向バインディング で View ↔ ViewModel が同期v-model
の値がModel的な役割を持つmessage
ViewModelの存在により、Viewはロジックから独立して“描画専用”になるのがMVVMの最大の利点です。
応用・発展的な使い方
- フォームバリデーション:ViewModel層で検証を行い、Viewではメッセージのみ表示
- 状態管理との統合:VuexやPiniaなどをModelとしてViewModelから参照
- モジュール化・テスト可能なUI:ViewModelは関数としてテストしやすい
- MVVM with React(やや拡張):
+useState
の組み合わせで近似構造を実現可能useEffect
MVVMは“UI中心”の開発において、見通しとテスト性を両立する設計手法です。
よくある誤解と注意点(任意)
- 「MVVM=Vue専用」ではない:WPF、Angular、Knockoutなど多くのUIフレームワークで応用可
- ViewModelにロジックが集中しすぎる:必要に応じてService層を導入すべき
- 過剰な双方向バインディングはバグの温床:データフローを意識した設計が重要
- ReactはMVVMではない?:ReactはMVU(Model-View-Update)思想に近いが、MVVM的にも扱える
MVVMは“構造の分離”と“リアクティブなつながり”の両立を目指す設計モデルです。
まとめ
MVVMは、UI設計において状態と振る舞いを分離し、保守性と再利用性を高めるアーキテクチャパターンです。
特にVue.jsやWPFなどのデータバインディングをサポートする環境では、ViewModelによる中間層がロジックの分散を防ぎ、Viewの単純化に大きく貢献します。
UIが複雑になる前にMVVMを取り入れ、テストしやすく、意図の明確なUI構造を実現していきましょう。