損失関数
公開日: 2025/06/02
損失関数とは?機械学習モデルの誤差を評価する基準
はじめに
損失関数(Loss Function)は、機械学習モデルの予測結果と正解データの誤差を数値化する関数です。
モデルの性能を定量的に評価し、学習の際にパラメータ更新の指針として使われます。
この記事では損失関数の基本概念や代表的な種類、活用方法をわかりやすく解説します。
基本情報・概要
損失関数は、1つのデータ点に対する誤差を測る関数で、これを全データで平均したものを目的関数(コスト関数)として扱うことが多いです。
モデルの出力が正解に近いほど損失は小さくなります。
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主な損失関数の種類:
- 平均二乗誤差(MSE)
- 交差エントロピー損失(クロスエントロピー)
- ヒンジ損失
- カスタム損失関数
損失関数名 用途・特徴 平均二乗誤差(MSE) 回帰問題でよく使われ、誤差の二乗平均を計算 交差エントロピー 分類問題で使われ、確率分布の差異を評価 ヒンジ損失 サポートベクターマシン(SVM)で用いられる
深掘り解説
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平均二乗誤差(MSE)
(\frac{1}{N}\sum_{i=1}^N (y_i - \hat{y}_i)^2)
予測値と実測値の差の二乗を平均。大きな誤差に対してペナルティが強い。 -
交差エントロピー損失
(-\sum_{i} y_i \log(\hat{y}_i))
正解ラベルと予測確率の差を測り、分類問題の標準的損失関数。 -
ヒンジ損失
分類マージンを意識した損失で、誤分類の度合いを計測。 -
カスタム損失関数
特殊な目的に合わせて設計された損失関数も存在する。
応用・発展的な使い方
- 多クラス分類や多ラベル分類への拡張
- 回帰と分類の複合タスクでの損失関数の組み合わせ
- 不均衡データに対応するための重み付け損失関数
- 強化学習や生成モデルでの特定タスク向け損失設計
よくある誤解と注意点
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損失関数が小さくても必ずしも性能が良いとは限らない
過学習や評価指標との乖離に注意。 -
適切な損失関数選択が重要
問題の性質に合わない損失関数は学習を妨げる。 -
損失関数は微分可能であることが多いが必須ではない場合もある。
まとめ
損失関数は機械学習モデルの性能評価と最適化に不可欠な要素です。
代表的な損失関数の特徴を理解し、タスクに応じて最適な関数を選択・設計することで、より高精度なモデルを構築できます。
基礎から応用まで押さえておきたい重要な概念です。