グリコーゲンローディング
公開日: 2025/06/04
グリコーゲンローディング
はじめに
フルマラソンや持久系スポーツに挑戦する際、完走を目指すためには「体力」だけでなく「エネルギー戦略」が欠かせません。その代表的な方法が「グリコーゲンローディング」。事前に体内の糖質(グリコーゲン)を最大限に蓄えておくことで、後半の失速や“30kmの壁”を回避することが可能になります。
基本情報・概要
グリコーゲンローディングとは、炭水化物の摂取量を意識的に調整し、筋肉と肝臓に蓄えられるエネルギー源(グリコーゲン)を最大化する方法です。運動時の持久力を引き出し、スタミナ切れを防ぐため、主にマラソンやトライアスロンなど長時間におよぶ競技の前に活用されます。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
方法 | 特徴 | 実施期間 |
---|---|---|
従来法(クラシック型) | 炭水化物を一度減らし、その後大量に摂取 | レース6〜1日前 |
短縮法(モダン型) | 炭水化物中心の食事を3日間続ける | レース3〜1日前 |
超短縮型 | レース前日の1日だけ高糖質食に切り替える | レース前日 |
深掘り解説
グリコーゲンとは?
- 筋肉と肝臓に蓄えられる体内の糖質エネルギー
- 通常状態で約400〜500g(1,600〜2,000kcal)ほど貯蔵可能
- ランニングでは1時間程度で枯渇しはじめるため、事前の蓄積が重要
グリコーゲンローディングの実践ステップ(モダン型:3日法)
-
6〜4日前(通常食):
- 練習の強度を落とし始め、普段通りのバランス食を心がける
-
3〜1日前(高炭水化物食):
- 摂取カロリーの70〜75%を炭水化物で構成
- 体重×8〜10g/日の炭水化物を目安に摂取
例:
- 白米、うどん、パン、餅、パスタ、芋類、バナナ、スポーツドリンク
- 油物・繊維質は控えめにし、消化に良いものを中心に
よくある食事例
- 朝:おにぎり+バナナ+味噌汁
- 昼:うどん+煮卵+白玉
- 間食:あんぱん、クラッカー、果汁ジュース
- 夜:パスタ+鶏むね肉+少量の野菜
応用・発展的な使い方
- スポーツドリンクやエネルギージェルを活用して、手軽に糖質を補える
- 低GI+高GIの組み合わせで、持続的エネルギーと即効性を両立
- レース当日朝も「おにぎり+バナナ」など、炭水化物中心でOK
よくある誤解と注意点
- 「炭水化物を食べればいい」→ 油分や繊維を摂りすぎると消化不良の原因に
- 「糖質を増やす=太る」→ 一時的な水分保持も含む自然な現象
- 「レース直前にどか食い」→ 胃腸に負担。分けて摂るのが基本
まとめ
グリコーゲンローディングは、長時間の持久系スポーツにおける“燃料切れ”を防ぐ実践的なテクニックです。数日かけて計画的に炭水化物を蓄えることで、レース後半でもエネルギー切れを起こさず安定した走りを維持できます。大会に向けて練習してきた努力を最大限に活かすために