BERT
公開日: 2025/06/02
BERTとは?自然言語処理を革新した双方向言語モデル
はじめに
BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、Googleが開発した自然言語処理(NLP)用の言語モデルで、2018年に発表されました。
双方向の文脈を同時に理解できることで、多くのNLPタスクで高い性能を示し、言語理解の新たな基準となっています。
この記事ではBERTの基本構造や特徴、応用例をわかりやすく解説します。
基本情報・概要
BERTはトランスフォーマーのエンコーダ部分を基にしたモデルで、入力テキストの左右両方の文脈を同時に学習します。
これにより単語の意味や文の構造を深く理解できます。
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主な特徴:
- 双方向の自己注意機構
- マスクドランゲージモデリング(MLM)による事前学習
- ファインチューニングで多様な下流タスクに対応可能
用語 説明 自己注意機構 入力内の全単語に注目して文脈を理解する仕組み マスクドランゲージモデリング(MLM) 入力文中の一部単語を隠して予測する事前学習タスク ファインチューニング 事前学習モデルを特定タスクに適応させる学習方法
深掘り解説
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マスクドランゲージモデリング
文中の単語をランダムにマスクし、モデルがその単語を予測することで文脈理解を強化。 -
次文予測(NSP)タスク
2つの文が連続しているかどうかを判定するタスクで、文間関係の理解に寄与。 -
ファインチューニング
事前学習済みのBERTモデルを特定のタスク(感情分析、質問応答など)に合わせて再学習。
応用・発展的な使い方
- 文書分類や感情分析
- 質問応答システム
- 機械翻訳や要約
- 名前付き実体認識(NER)
- 対話システム
よくある誤解と注意点
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BERTは完璧な言語理解モデルではない
複雑な推論や常識知識には限界がある。 -
計算資源とメモリ消費が大きい
大規模モデルはGPUなどのハードウェアが必要。 -
ファインチューニングには適切なデータと設定が重要
まとめ
BERTは自然言語処理の多くのタスクで高い性能を実現し、NLP研究と実用化に大きな影響を与えました。
その双方向性と事前学習の仕組みを理解し、適切に活用することで、多様な言語処理問題を効果的に解決できます。
今後も派生モデルや改良版が登場し、進化が続く注目の技術です。