シリーズB営業組織拡大
公開日: 2025/06/13
シリーズBにおける営業組織拡大戦略:成長を加速させる設計と運用のポイント
はじめに
シリーズBの資金調達を経たスタートアップは、**「PMF後のスケールフェーズ」**に突入します。
特に売上拡大を担う営業組織は、単なる人数増ではなく、構造設計・役割分担・KPI設計の見直しが求められます。
本記事では、シリーズBフェーズにおける営業組織の拡大に必要な考え方、戦術、実践ポイントを体系的に解説します。
基本情報・概要
シリーズBとは、プロダクトマーケットフィット(PMF)達成後の成長資金ラウンドであり、
主に「営業・マーケ・CSなどのGo-To-Market体制」の構築が投資対象になります。
営業組織の拡大では以下が主な論点となります:
- 拡張に耐える営業プロセスと役割の標準化
- 組織の分業体制と成果管理の再設計
- 採用・オンボーディング・カルチャーの浸透設計
比較・分類・特徴の表形式まとめ
項目 | シリーズAフェーズ | シリーズBフェーズ |
---|---|---|
営業体制 | 兼任・少人数・属人営業 | 専任化・役割分担(SDR/AE/CS) |
KPI設計 | 案件数・受注数中心 | CAC/LTV・CVR・リード源別分析 |
採用方針 | 経験者1名採用などのスポット強化 | チーム構成前提の人材ポートフォリオ設計 |
営業支援 | 個人ノウハウに依存 | CRM運用/スクリプト/トレーニングの整備 |
マーケ・CSとの連携 | 一部連携 | フルファネルでのパイプライン管理・共有 |
深掘り解説
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なぜ構造的な営業組織が必要なのか?
- 属人化のままではスケールできない(再現性の欠如)
- KPIや育成体系が曖昧だと、採用後の早期離脱を招く
- 投資家・経営陣からの信頼性担保にもつながる
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営業チーム構造の設計例
- SDR(Sales Development Representative)
- リード獲得・アポ設定までを担当
- AE(Account Executive)
- 商談クロージングを担う
- CS / AM(Customer Success / Account Manager)
- 契約後の定着・アップセルを設計
- SDR(Sales Development Representative)
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組織拡大のステップ
- プロセスの明文化(営業フロー、対応フェーズ、SFA入力)
- KPIの統一(SQL数、CVR、商談平均単価など)
- リーダー人材の配置(プレイヤーからマネジメントへの移行)
- Onboarding・Enablement設計(入社3ヶ月以内の成果定義)
応用・発展的な使い方
- `Sales Ops導入`:営業支援専任者の配置による仕組み強化
- `Inside Sales中心のモデル設計`:Webリード獲得との連携強化
- `スクリプト・トークスキル標準化`:トレーニングコンテンツの内製化
- `CRM自動化・ダッシュボード化`:Salesforce/HubSpot/RevOpsツールの活用
よくある誤解と注意点
- 「売れてる営業を増やせば売上も増える」→ 属人化からの脱却が最優先
- 「KPIは売上だけでよい」→ 商談数・CVR・リード品質の可視化が重要
- 「営業だけで完結する」→ マーケ・CS・開発との連携設計がないと失速する
まとめ
シリーズBにおける営業組織の拡大は、「人数」ではなく「構造」の拡大です。
再現性・透明性・役割分担の整備こそが、スケールに耐える営業組織の鍵になります。
今売れている理由を言語化し、仕組みとして次の10人、100人に伝播できる体制をつくる──
それが、シリーズBの成長を支える営業戦略の本質です。