勾配降下法
公開日: 2025/06/02
勾配降下法とは?機械学習モデルを最適化する基本アルゴリズム
はじめに
勾配降下法(Gradient Descent)は、機械学習や深層学習でパラメータを最適化するための代表的なアルゴリズムです。
損失関数の値を最小化する方向にパラメータを少しずつ更新し、モデルの性能を向上させます。
この記事では勾配降下法の基本原理や種類、活用例をわかりやすく解説します。
基本情報・概要
勾配降下法は、関数の勾配(偏微分)を使って最小値を探索する最適化手法です。
機械学習では、損失関数の勾配を計算し、その逆方向にパラメータを更新していきます。
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主な種類:
- バッチ勾配降下法(BGD)
- 確率的勾配降下法(SGD)
- ミニバッチ勾配降下法
手法 特徴 バッチGD 全データを使って勾配を計算し更新。安定だが計算コスト高い 確率的GD 1データずつ更新。高速だがノイズが多く不安定なことも ミニバッチGD 一部データ(ミニバッチ)で勾配計算。バランス良く広く使われる
深掘り解説
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パラメータ更新の式
(\theta \leftarrow \theta - \eta \nabla_\theta J(\theta))
ここで (\theta) はパラメータ、(\eta) は学習率、(J(\theta)) は損失関数。 -
学習率(Learning Rate)
更新の大きさを決める重要なハイパーパラメータ。大きすぎると発散、小さすぎると収束が遅くなる。 -
収束と局所解
勾配降下法は局所的な最小値に収束することがあるため、初期値や手法の工夫が必要。 -
モメンタム法やAdamなどの改良手法
勾配降下法の振動抑制や収束速度向上のため、多くの最適化アルゴリズムが提案されている。
応用・発展的な使い方
- 線形回帰やロジスティック回帰のパラメータ推定
- ニューラルネットワークの重み更新
- 深層学習における大規模パラメータ最適化
- 強化学習の価値関数近似
よくある誤解と注意点
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勾配降下法は万能ではない
非凸関数では最適解保証がない。 -
学習率の調整が難しい
適切な値を選ぶためにスケジューリングや適応的手法が必要。 -
勾配消失問題など勾配に関する課題は別途対策が必要。
まとめ
勾配降下法は機械学習の基礎かつ重要な最適化アルゴリズムであり、
モデルの性能向上に欠かせない技術です。
基本的な理解と適切なパラメータ設定が、高精度モデルの鍵となります。