D2C(Direct to Consumer)
公開日: 2025/06/11
D2C(Direct to Consumer)
はじめに
中間流通を省き、ブランドが消費者と直接つながる──それが「D2C(Direct to Consumer)」モデルです。SNSや自社ECを活用し、企画・製造から販売・サポートまで一貫して行うことで、顧客体験の設計やブランド世界観の浸透を可能にします。本記事では、D2Cモデルの概要と他モデルとの違い、代表例、構築ステップ、成功の秘訣を解説します。
基本情報・概要
D2C(Direct to Consumer)モデルとは、**製造者(ブランド)が消費者(Consumer)に対して、流通業者や小売を介さず“直接”商品・サービスを販売するビジネスモデル**です。
特徴:
- 自社チャネル(EC、SNS、メール)を通じた直販
- 顧客データを自社で保有・活用できる
- ストーリー性や共感を軸としたブランド構築
特にアパレル、コスメ、食品、家具など感性価値が重視される分野で活発です。
比較・分類・特徴の表形式まとめ
モデル | 主な特徴 | 代表例 |
---|---|---|
BtoC | 量販店やプラットフォームを通じて販売 | ユニクロ(店舗)、楽天(モール型) |
D2C | 自社で企画〜販売まで一気通貫し直販 | ALLBIRDS、BASE出店ブランド、FABRIC TOKYO |
BtoBtoC | 中間B経由で最終消費者に届ける構造 | 楽天市場、ECモール型店舗 |
D2Cは「ブランドと顧客の関係性設計」が中心となる構造です。
深掘り解説
1. なぜD2Cが注目されるのか?
- 中間マージンを削減し、価格設定の自由度が高まる
- 顧客データが取得可能になり、LTV最大化に貢献
- ブランド世界観を統一して発信できる
- SNSとの親和性が高く、初期コストが低い
「届けたい相手に、届けたい価値を、直接届けられる」構造が魅力です。
2. D2Cモデルの主な構造
- 企画・製造:OEMや小ロット生産など柔軟に対応可能
- 販売チャネル:自社EC(Shopify、BASE等)を中心に展開
- マーケティング:SNS、インフルエンサー、コミュニティを活用
- カスタマー対応:チャット、LINE、レビュー機能などで顧客と継続接点を持つ
「人」ではなく「ブランド」が売る時代の戦略設計です。
応用・発展的な使い方
- サブスクリプション型D2C:定期購入(コスメ・プロテイン・食品など)
- エコロジカルD2C:再生素材/地産地消/製造背景の透明化
- D2C × コンテンツマーケ:商品にまつわる物語・ノウハウ発信(例:ブログ、動画)
D2Cは「売る」から「共感される」への構造転換でもあります。
よくある誤解と注意点
- 「ECサイトを作ればD2C」は誤解 → ブランド哲学・体験設計が中核
- 初期ファンはSNSで集まっても、LTV最大化にはCXとCRMが不可欠
- 自社運営ゆえに物流・在庫・カスタマー対応の負荷も直面する
まとめ
D2Cモデルは、ブランドが消費者と直接つながり、共感をベースにした継続関係を築く新しい流通構造です。価格・デザイン・届け方すべてを一貫して設計できる一方で、自社に「世界観」「運用力」「コミュニティ育成力」が求められます。まずは、「どんな価値を、誰に、どう届けたいか」を明確にすることが、D2C成功の第一歩です。